2022年9月の連休で岡山県の備中へクライミングツアー(3泊4日)に行ってきました。
当初は北ア北部で山に行く予定だったのですが、どうにも予報が悪い。4連休を無駄にしたくないなあ、なんて思っていたら「備中にクライミングに行きませんか?」との提案がありました。備中・・・と言うと岡山?予報では南のほうは天気が良さそう!
ということで急遽、連絡があった夜に出発になりました。地元長野からは8時間(約600km)長い道のりでした。
監督、女コーチ、でんちゃん、まっつん(私)の4名
(↑仮名、勝手に名前つけてます)
この2週間後にまた行ってきました!記録はこちら。
またまた岡山の備中へ行ってきました。今回は2泊3日の3連休です。 [me01] 前回(2週間前)行った記録はこちらから。トポの情報なんかはこちらの記事参照。 [sitecard subtitle=関連記事 url=http[…]
岡山県・備中の岩場でのクライミング
私は石灰岩は国内では登ったことがなく、初めての岩でした。写真では見たことがありましたが、登ってみるとその特性に結構苦戦。
初めての石灰岩はどんな感じ?特徴について
傾斜が強い!
下部が侵食されているのか前傾している壁が多い印象です。手は良いけど足は悪い、みたいなことも多くて体を使って、力の逃がし方のコツを覚えていないとすぐにパンプしてしまいました。また、下部の傾斜が変わる箇所が難しいことも多く、とりつきがムズい課題が多かったように思います。
ホールドがすべすべする!フリクションがない!?
全体的に表面のフリクションはなく、しっかり効かさないと滑ってしまいそう。フットホールドもかっちりとした棚のような物は少なく、使い方が難しい。傾斜が強いので正体で無理やり引き付けているとまたすぐに力尽きてしまいます。ガバホールドが多いですが、単純なガバではないです。
岩の中には崩壊して断面がギザギザしているものと、水で溶けて形状が変化して表面がスベスベと滑らかなもの、そんな感じの大きく2タイプのホールドがある印象。
ガバガバに見えるのにがバじゃない!?
壁の形状はぼこぼこと隆起していて下から見ると「全部ガバ」に見えてしまいます。しかし、体を上げていざ手を出して触れてみると「あれ、持てない!?」「これも持てない!」「ガバじゃない(ガーン)」というのが多かったです。慣れていないと特にコルネ地帯のオンサイトはなかなか難しそうでした。
そんな感じで結構癖のある石灰岩の岩場。コツがあるような気がします。エッジングよりもスメアリング系の柔らかめなシューズが良さそうでした。今回はスクワマウーマンがばっちり使えました。ちなみに自分は普段は花崗岩で登っていることが多いです。
また、備中にはいくつも岩場があるのですが同じ石灰岩と言えどエリアごとに特色があって面白い!と感じました。普段小川山や瑞牆で登っているとどうしてもローカルの岩場がちんけに感じてしまうことがありますが、備中は狭いエリアにたくさんの個性あふれる壁が集まっていてとても楽しめそうに感じました。
ケガ明けで全然登れませんでしたが…
今年は梅雨前に薬指を痛め、ジムは2か月、外岩のフリークライミングは3か月以上やっていないため、体はすっかりクライマーのそれではなくなっていました。冷静に考えたら冬はクライミングしていないので、クライマーと名乗れるのだろうか?ちょっとヤバイ!笑。
そんな感じで今回はお恥ずかしながらまともにリードできておらず、リハビリと言った状態です。岩はとってもかっこよく、自分の力でしっかり登れるようになってまたリトライしたいと思います。
怪我についてはこちらの記事に書いています。
2022年。今年は梅雨前に指に違和感を覚えてから、薬指が力を入れると痛むという負傷に発展し、長らくクライミングをお休みしていました。 ようやく少しずつ登れるようになってきましたが、クライミングを休んでいる間に起こった登ることに対する体[…]
参考にしたトポ(ルート図)
以下のリンクのサイトにあるドポ参考にさせていただきました。
「Cottage木の村」での宿泊
Cottage木の村に止まりました。街からかなり林道を登った先の小さな集落のてっぺんにある古民家です。少しぼろい古民家のような感じですが水回りなどはきれいにリフォームされています。山小屋のようで私にとってはとても居心地がよかったです。
【1日目】レイクビューエリア
初日はレイクビューへ行きました。車の止め場所に少し悩みました。
アプローチは結構歩きにくい急な下りから始まります。ですが終始フィックスロープがセットされています。道路わきの赤テープの木の横から下降して結構下ります。下を見て右方向に進み岩を回り込んでルンゼ状を右側からフィックス通りに進むと岩場に到着しました。
レイクビューという割にはかなり鬱蒼としたエリアでじめじめした森の中。とにかく虫が多く、肌の出ている箇所を50か所くらい蚊に刺され、かゆすぎて一刻も早く帰りたかった岩場でした。ハチもうろうろ…していたし…
ほぼ徹夜の運転と仮眠でうつらうつらしていましたが、アップもかねて"ゴーゴーヘブン (5.10a)"を登りました。
2Pあるようで繋げて登ろうということに。先に登ってヌンかけてくれたでんちゃんはトポ通り20本?くらいヌンチャクをもっていったようですが、途中足りなくなって上部はかなりランナウトしていました。
私は追加で5本ほどヌンチャクをもってスタート。下部の最初の1段が妙にいやらしくて、もじもじ。それ以降はガバを見つけて繋げますが、ややいやらしいところが所々あって、「快適なロングルート」とは言えない感じ。上からの眺望もイマイチ(川がめちゃくちゃ汚い(たまたま?))。プロテクションの数も多いので、最後らへんはロープが重すぎて大変でした。
その後"コンケイブ (5.10c)"は3ピン目からの上がり方がわからず、"もぐらたたき (5.11a)"はハングからの抜け口のガバに飛びつくも、一瞬でパンプして終わりました。何と持久力のないことよ…。
この日は他に2人組1PTがいて、静かな岩場でした。この岩場はピンが近くてビビりでも安心できそうです。ただアプローチが大変で迷うと少し危険なのと、足場がかなり悪いのでビレイもちょっと気を付けたほうがいいかもしれません。
ところで湖も特にないのになぜこのエリアがレイクビューというのか謎でした。(見えなかっただけ?)
【2日目】長屋坂エリア
二日目は長屋坂へ。この日は雨の予報だったため雨に強いエリアに行こう!と言うことで監督のすすめで「長屋坂」へ。車は道路が広がったところに止めました。アプローチはちょっと歩いて登るだけでらくちん。
とてもカッコい岩場でしたが、雨に強いとはいえやはり濡れている岩もありました。この日は終日貸し切りでした。
1日目の自分の登りで全然登れないことを実感した私は私はでんちゃんのビレイヤー兼金魚のフンのような存在になっていました。
洞窟の中から出ていく形状の"プラナン (5.9)"でアップしようとなりましたが、下のほうがビショビショでホールドもフットホールドも濡れたツルツルホールドのため、私は怖くて取りつけませんでした。その後"スプリング (5.11a)"を登ったでんちゃんはMOS。TRにしてもらってトライしましたが、中間部は結構細かく、濡れたホールドを使ってレイバックみたいな所は怖い~!
その後監督が"女王様 (5.12a)"でんちゃんが"カウントダウン (5.12a)"をトライ。
私も"カウントダウン (5.12a)"を触らせてもらいましたが、出だしが悪い。すごい遠い縦のクラック沿いの縦ホールドをもって無理やり体を上げて切り返す。リーチがないと出だしがもっと悪くなりそう。それ以降はガバだけど向きは悪くてパンプとの闘いみたいな。中間部は凹角があるけどレストできず。下部を自動化しなければつながらなそう。
中間部から盛り上がった岩をトラバースすると核心部のようです。監督曰く右からと左からの2通りの抜け方があるとのこと。
右へでて、そのままいくつかホールドを使って、直上するか、右へ出ずにガバコルネを使って左へトラバースしてから右の遠いガバへ飛びつくか。でんちゃんが左に行っていたので私も左に行ってみましたが、右手のガバへ飛びつく体勢を作れない!核心を抜けた後も悪いホールドだらけで次のクリップが怖いようです。
隣の"女王様 (5.12a)"も悪いようで、監督が右往左往していました。ホールドが良いカウントダウンと打って変わって下部から細かくバランスと耐えが続くようです。中間部で少しレストした後、右のスラブ面に上がってからハングに差し掛かるあたりが難しいようでした。
ボルドはケミカルが多かったです。
【3日目】2ルンゼエリア
キャンプ場横の立派な駐車場がありました。アプローチはがれがれの岩場で浮石が多いです。ルンゼ状に入って行くと左手に大きな壁が。このエリアは今までで一番「コルネ」がたくさんありました。石灰岩らしい岩場という感じでしょうか。私はコルネの使い方が全然わからず。体を使ってホールドを効かすという動作がとても大事なようですが、これが結構怖い。。
この日は自分たち以外に1PT遅い時間に来ました。地元のクライマーのようです。
アップで"ダンゴのリズム (5.11a)"を触ることになったのですが、MOSしてヌン掛けしてくれたでんちゃんが「これちょっと怖いけど大丈夫?」と聞いてくれました。でんちゃんが怖いと言うなら…無理だ!ということでロープを張ってもらってやることに(そればっか)。
出だしがものすごくやりにくくて、何度か降りてきてしまいました。一段上がって左手を縦ホールドにかけて左足を大きく上げて、体を横に向けて何とか上りました。その上はガバが続きますが「下から見たらガバに見えるのに、触ると持てないボコボコ」で悩んでるうちにパンプ。フットホールドは砂っぽくて足が滑る。こりゃ怖い~!
コルネに慣れていなくて初見でホールドが見つけられないので、自分は「今日はコルネ特訓だ!」ということでその隣にある"ルート名不明 (5.11b)"(別トポではフェイスという名前)と交互にやりながらコルネと仲良くなる練習の日となったのでした。めちゃくちゃ登って筋肉痛に。
でんちゃんは監督に進められた"半分バナナ (5.11b/c)"をトライ。1トライ目で核心手前までスムーズに進み、そこからはホールド豊富な見た目の左側へ進むと、摘むようです。右側に答えを見出し、「こっちか~」と。その後何度かトライしていましたが少しずつ日が当たって壁は灼熱に。
監督は昔登ったらしいですが同じく"半分バナナ (5.11b/c)"をトライして同じく核心部で左に吸い込まれてしまいました。その後監督は"蜘蛛の巣の上の人 (5.11c)"をMOS。この課題は昔なかった?そうです。監督は今年で67才だそうですが上裸で汗がヒカル背中がムキムキでかっこいい。身長は小柄ですが踊るように登っていて見とれました。
監督の登る姿がかっこよかったので動画を撮ってみたら、後で自分で見て「もっとキビキビ動いてると思ってた!」と言って念入りに観察していました。自分の登りを動画で見るのって新鮮ですよね。私も今度自分でやってみようかなと思いました。
【4日目】権現谷エリア
最終日はアプローチ0で車が横付けできるいう権現谷へ。岩場までの林道は結構怖く、途中大きな落石もあったり、サルの群が斜面を走って上から石が落ちてきたりなかなかワイルド。待避所も少なく離合困難なので、場合によっては対向車が来たら長くバックを強いられそうです。
この日は長野までの岐路(8時間の運転)を考慮して12:00ごろに引き上げました。
岩場は沢の近くで涼しい感じ。車は路肩に留めましたが、あまり台数は止められなそう?
今日も誰もいない岩場。まだシーズンじゃないのかな?よくわかりません。その後前日に2ルンゼ出会ったPTがやってきました。
このエリアはコルネホールドよりもガビガビした海を感じるホールドが多い。フリクションはないけれど、2ルンゼのような埃っぽさはない感じでした。
下部の傾斜が変わるところを超えたところに1ピン目があるルートが多く、プリクリ推奨のルートが多いようです。
このエリアでは一番やさしめな"とめ吉 (5.11a)"をでんちゃんがMOS。またまた下部が悪く、私は最初の1手が遠く厳しい態勢で何度かテンション。右手カチで体を上げ固めようとせず、勢いで伸びあがって左手を出すと届いた。それ以降はガバをつなぐ感じだけど、単純な正体では進めない感じ。下部にグレードがついていると感じました。
監督と女コーチは"逆さでシェィク (5.11c)"をやっていました。かなり長くて迫力のあるルートです。監督は4日目のクライミングは流石にヨれていて、1本登ったら「俺はもう終わった!」と言っていましたが、最後、回収に行かざるをえなくなり、フウフウ言いながら再登していました。疲れていてもテンポよくどんどん高度を上げていく様子はさすがです。このルートは中間部のホールドが取れてどこか少し悪くなっているところがあるそうです。
でんちゃんは"下には下がおる (5.12a)"をトライしていました。本人はスラブや組み立てが得意なのにこのルートは結構かぶっていて「俺の分野じゃない」と言いつつも頑張っていました。こちらも核心部のホールドがかけているらしいです。核心はビックムーブで解決していましたが、タイムリミットが来て終了。課題によっては時間がたつにつれ水が染み出てきて、朝は濡れていなかったホールドが濡れていたりしました。
まとめ
急遽の遠征クライミングでしたが、とても充実した4日間になりました。地元長野は連日雨だったようなので、思い切って南へきて良かったです。今回は全体を通してトレーニング不足がたたり私自身は全然登れずメンバーに助けられながら楽しみました。クライミングは登れないと楽しくありません。もっとトレーニングして次回は楽しめたらと思います!
こういう遠征はなかなか経験がなかったので、初めての岩場を見る楽しさはもちろん、クライマーのみんなと一緒に生活する4日間、毎日クライミングの話をしながら過ごす日々はとても幸せでずっと続けばいいなと思いました。今これを書きながら「あ~日常に帰ってきてしまった」と落ち込んでいます笑。
あ、そうだこのエリアはビレイグラスがあったほうがいいと思います。かぶったロングルートが多いのでビレイで首を痛めてしまいました。私はビレイグラスを持っているのにいつも持っていくのを忘れて一度も使っていません(意味不明)。