2023年GW北海道で日高山脈を縦走する!残雪期の登山と旅の記録/幌尻岳・伏美岳・ピパイロ岳・エサオマントッタベツ岳

2023年GWに北海道へ登山トリップへ行ってきたので、今回はその内容を記録したいと思います。
今回は登山以外にも日程に余裕があったので北海道で色々なことをしてきたのでそれも含めて今回の旅を記録したいと思います。

登山の記録だけを確認したい方は目次から移動してください。

今回の計画について

2023年のGWは10日間でした。
前日の夜に長野から新潟へ移動し新日本海フェリーで北海道の苫小牧へ移動しました。実は昨シーズンも同じような感じでGWに北海道へ行っていて、ちなみに昨シーズンはスキー登山とクライミングトリップみたいな感じでした。

当初の計画は予備日込み8日間でしたが、天候の悪化のため短縮して実際の行程は①~③の後エスケープルートの札内岳へ進み下山と言う、4泊5日の行程となりました。

①伏美登山口~伏美岳~パピイロ岳~1739mコル付近
②1967峰~北トッタベツ岳~トッタベツ岳~七つ沼カール~幌尻岳
③カムイ岳~エサオマントッタベツ岳
④~札内岳~下山(エスケープ下山)

[当初の予定]
(④カムイエクウチカウシ
⑤コイカクシュサツナイ岳
⑥下山
⑦林道でダムゲートまで)

これに居住地の長野から北海道への往復のフェリー移動の日程があります。

実際は入山予定日付近では大雨が予想される日があったため、雨が過ぎてから入山することになり、日程短縮のため下山口も変更しています。実際の行程は後述します。

その関係で結果的には北海道で観光も楽しむことができました。

今回のメンバーは3名です。

デンジ(仮名)、なっちゃん(仮名)、まっつん(私)

仮名は私が勝手につけています。

私以外の二人は大学生で体力バリバリの長野県の名門山岳部上がり。対する私は3月末にスキーで怪我した足(内側側副靭帯損傷)がギリギリ治ったくらいで、運動不足も甚だしい!
荷物は二人に多めに持ってもらって助けてもらいました。

今回の旅の記録になるので、入山から見たい人は目次から移動してください。

北海道へ苫小牧へ上陸!入山するまで

新潟港から新日本海フェリーへ乗車しました。GWより1日早く移動できたのでフェリーはかなり空いていて快適でした。丸1日半ほどフェリーに揺られ、ついに北海道上陸です。昨年と同じ苫小牧東港から。見覚えのある風景。苫小牧東港周辺のガソリンスタンドはかなり安いので給油しておくことをお勧めします。

ちなみに今回の旅はほとんどが無料キャンプ場や野宿、ライダーハウスなど色々お金のかからない感じでで夜を過ごしました。
フェリー代やら交通費やら含めて10日間で一人5万円ちょっとくらい、それに加えて生活費(食費や入浴)と言った出費になりました。

本当は北海道上陸の翌日から入山予定で、登山口に移動する予定でしたが、どうも山は予報が悪い感じ。結構な雨が降る予報。
色々悩みましたが、雨が止んでから入山することにしました。

春の時期の登山は条件が意外と難しいです。厳冬期は山は降水は雪と言う形になります。雪であれば気温さえ低ければ装備は濡れません。なので多少荒れ模様でも問題ありませんが、雨は厄介です。序盤で装備を濡らしてしまうと結構大変です。濡れネズミになった状態で標高の高い場所で幕営するのはしんどいです。

無料キャンプ場でお世話になった初日

そんなわけで、北海道に上陸した夜は、無料のキャンプ場「植苗キャンプ場」さんにお世話になりました。

まずは到着して苫小牧東港から近くにある無料のセルフキャンプ場と言う場所でお世話になりました。

ご家族が自分たちがアウトドアを楽しむ趣味のために作られたような場所ですが開放してくれています。整備などは殆どないワイルドな場所ですがトイレはありました。
井戸水が汲めますがかなり汚いのですが、オーナーのお父さんが少し歩くときれいな水場があることを教えてくれました。

無料で使わせていただけるのでこれで十分です!難点を上げるとすれば空港が結構近いのでジェットエンジンの音がかなり大きく聞こえることでしょうか。

この夜は地元スーパーホクレンーで買ったジンギスカンをみんなで食べました。

2日目は赤岩青巌峡でクライミング

雨が降るのはこの日の夜。まだ入山はしませんでした。

日中は天気は悪くないので、北海道では大きなクライミングエリアである赤岩青巌峡でクライミングをすることに。

自分は昨年も来ています。今回のメンバーの2人は初めてとのことで、登りに行ってみよう!と言うことになりました。

赤岩青巌峡は赤いチャート質の岩場です。
私は入山前に足の怪我を悪化させてくなかったのでビレイに徹していましたが、2人は楽しんでくれたようです。

次回来るときは自分も万全の調子でクライミングしたいなあ、と思いました。

その後、早めに切り上げて登山口へ移動しました。

いよいよ入山?入山前夜

さて、いよいよ翌日入山です。ですがここで伏美小屋まではゲートから6~7キロ?ほど歩かなければならないことが判明します。
下調べ不足です。。
この夜歩き始めて、雨が降るまでに避難小屋に入り夜を過ごそうかとも話しましたが、北海道の夜の森を歩くのはヒグマが怖いのでやはり翌日雨がやんでから入山することにしました。

なので一旦帯広の街の方へ戻りました。川の近くの東屋のある公園でテントを張って夜を過ごしました。
なっちゃんは「早く山に入りたい」としきりに口にしていました。確かに思った日程で山に入れず町で過ごす時間はもどかしいものです。しかし遠征(遠出する)登山は入山までが長いものなので、焦らずのんびり構えるのが良いかなと思います。

ようやく登山開始!積雪期の日高山脈を歩く縦走の旅へ

さて、今回の行程についてもう一度詳しく書いておきます。
今回は日高山脈の大縦走をしたい!と言う目的で計画を立てました。

でしたが、記事の最初に記載視した通り雨で短縮となり、4泊5日となりました。
入山時の伏美登山口までの林道歩きなども見落としてていたこともあり、その辺は下調べが甘かったです。

結果的には今回一番行ってみたいと思っていたカムイエクウチカウシ山への稜線へは行けなかったのですが、昔夏に地震で断念した幌尻岳のピークへ行くことができ、ほかのピークもそれぞれ大変すばらしいものでした。
大きな大きな日高山脈を積雪期に歩くことができて充実した時間を過ごせました。

そんな5日間の記録になります。

1日目 伏美岳登山口からの入山し、ピパイロ岳を超えて稜線で幕営

そんなこんなで入山日は北海道上陸後の3日目の午後となりました。午前までは雨が降っており、実は公園の東屋にテントを張らせていただいて野営していたのですが、テントが完全には屋根の下には収まらず、強い雨では水がしみてきてしまいました。
そのため入山前にシュラフなどを濡らしてしまいました。雨の中山に上がっていたら装備が水没していたかもしれません。外張りをもってこればよかったと思ったのでした。
ちなみにテントはゴアテックスのテント(G-Light)です。

雨が上がってから伏美岳登山口の林道ゲート付近に車を止め、午後に入山しました。
ここからは2時間半ほどゆっくり林道を歩きました。
伏美小屋付近には沢がありますが、北海道の沢水は飲まない方がいい(エキノコックス。只煮沸すればOKらしい)との認識があるので町で汲んだ水をプラティパスで持っていったため無駄に荷物が重かったです。

ちなみに結果的には5日目で下山しましたが、入山時点では進捗が良ければカムイエクウチカウチの方まで進もうと思っていたので食料などは予備日含めて7日分ほど用意していました。ちなみに今回の私は足が悪いためいつもより軽量化しようとおもって普段は1500kcal程度で用意する行動食を1200kcal程に減らしていて、毎日行動食が足りるか心配の日々でした。しかし塵も積もれば山となるわけで、7日分では結構軽量化できていたのではないでしょうか。

多くはないですが登攀具(ロープ含む)と一般的な冬山装備もあり、まあまあ重い荷物です(20kg半ばほど?)。
ちなみにワカンも持って行きましたがいずれも使いませんでした。

まずはクマを恐れていたこともあり、樹林帯内での幕営は避けたいため、この日は中途半端に標高を上げることはせず、伏美小屋に泊まりました。

伏美小屋は大変きれいな小屋で、薪ストーブも燃料の薪も用意されていました。大変良い小屋でここでずっと過ごしたいなと思えるような場所でした。
薪ストーブを使わせてもらって、前日の雨でぬれたシュラフや装備の一部を乾かすために火をおこしてみました。

とても暖かい夜を過ごすことができました。小屋はストーブのおかげで暖かく朝までタンクトップで寝てしまいました。

2日目 いよいよ伏美岳から日高山脈の稜線へ!ピパイロ岳

北海道に上陸してから4日目、今日からようやく登山らしい行動ができます。
今日は稜線まで標高を上げて、そこから縦走路に入っていきます。

朝は5時前くらいに出発。伏美岳まで一般の登山道を使って標高を上げ、そこから稜線を進みピパイロ岳を超えて、しばらく進んだあたりで良さそうなコルがありそうなので(地形図的に)そのあたりまでの予定です。

登山道はクマ笹が沢山で、クマが出てくるのではないかと笛を吹いたり大声を出したりしながら登っていきました。

標高アップは1000mちょっとと言った感じでしょうか。自分はケガのせいもあって運動不足がたたり馬力がでないので、ゆっくりゆっくり標高を上げていきます。
ペースが上がらなくて申し訳ないですが自分が先頭を歩いてペースを作らせてもらいます。

9:30ぐらいにピーク(伏美岳1792m)に到着しました。稜線にでると北~西よりの風が強がかなり強いです。この時点ではかなり風は強いので幕営に少し不安がありました。
幕営に不安を覚えた理由としては、樹林帯を抜けた稜線上の雪がかなり少なく見えるため、雪洞やイグルーを作るのは厳しそう。そのため十分な風よけを作るのは困難そうに見えました。

これから進む稜線を眺めながら少し悩みました。目標としているコル付近は目視できて、そこは伏美岳よりは雪が豊富そうに見えました。
また風は強くとも気温は全然低くないので何とかなるだろう、と考え「とりあえず進もう!本気でヤバそうなら引き返そう」と声を変えて進むことにしました。

幕営予定地の1911mジャンクション奥の1793mのコルは見えてはいるけど、結構遠いな~って感じでみんな「遠そうだねー」とブチブチ文句を言っていました。

伏美岳からピパイロ岳の間はブッシュがかなり多くブッシュをよけたり藪を漕いだり。風当たりの強い場所はクラストしている箇所もあったのでアイゼンを装着しました。アイゼンって意外と重いので、履けるならさっさと履いちゃってもいいのかなと思うタイプです。

稜上は結構ひどいモナカ雪で、一歩一歩足を踏み出し荷重するたびに踏み抜きがありました。

ハイマツが頭を出していたり、いなかったり。踏み抜いた先にハイマツがあってアイゼンが引っかかったり。結構厄介です。
印象としては稜の雪上を歩くのはギリギリの時期のような感じでした。これ以上雪が少ないと夏道を探して藪漕ぎになるんじゃないかなあ。

私、なっちゃん、デンジの順に進みますが、なっちゃんはこの日が一番つらそうでした。踏み抜きがあるたびにどんどんペースが落ち、段々と笑顔がなくなり無言になっていきました。
モナカの踏み抜き地獄では、もともとゆっくり歩いていたのに、さらにその倍くらい進むのに時間がかかってしまい消耗も激しかったです。初日なので荷物もまだ重い。
途中ブッシュを掴んでトラバースしたりすると、斜面で大穴を踏み抜いてひっくり返りそうになったりとなかなか面倒な歩きです。なんとなく戸隠を思い出しました。

ようやくピパイロ岳(1916m)を超えると少し標高が上がったためか雪が安定してきて、風当たりも強いので雪面が固く比較的歩きやすくなりました。
そして何とか当初の目標のコル付近に15:00ごろに到着。

コルの北側がなだらかになっていて「もうこれ以上歩きたくない」と言う思いもあってそこで幕営することにしました。

雪はやはり少なく、整地するのに3ブロック分くらい掘り下げたのですが下からハイマツが出てくるか出てこないかギリギリの状況でした。
今回の行程ではこの日の幕営が一番風が強かったです。

夜目をつむってシュラフに入っているのですが稜線にぶち当たる北西の「ゴオオオオオオ」という轟音を立てながら迫った手くるので、その音を聞くたびに胸の上に手を合わせて「頼むからテントが壊れないように…」と祈っていました。
今思えば西側にブロックは摘んだのですが、北側にもしっかりブロックを積めばよかったなと思います。

轟音の稜線で夜は全く寝れずに深まっていきました。
しかし日をまたいで、少しするころには風が止んでいました。そして気が付いたら少し眠っていました。
夢を見ていることに気付き、眠れていたんだと実感しました。

山で良く「全然眠れなかった」とい人がいますが、たいてい起きているときの印象が強いからそう感じるだけで、なんだかんだで眠っていることが多いと思います。朝すっきりしなくても「大丈夫大丈夫、自分は眠れたはずだ」と自分に言い聞かすことは大事だなと思います。

3日目 1967m~北トッタベツ(戸蔦別)岳~戸蔦別~七つ沼カール~幌尻岳へ

朝起きると風は収まっていました。入山前の予報でこの日がベストコンディションであることはわかっていて、快適な一日になりそうな予感。

前日と同じく朝5時くらいに出発しました。

前日にはあまり見えていなかった幌尻岳のピークが良く見えていました。

入山日を遅らせたことで、カムイエクウチカウシの方へは行けないかもしれない日程になったので「幌尻岳のピークは絶対に目指そう!」とみんなで話し合っていたのでテンションが上がってきました。

幌尻岳は何年か前に普通に歩きの登山をしていた時代に、山行の計画を立てていたのですが、当時は北海道で大きな地震が起こったため入山を自粛していました。
いつか登れればいいなと思っていた山でもありました。

昨夜少し雪が降ったこともあり、稜線は白い輝きを取り戻していました。
街の方は雲海が広がっていました。時間とともにその雲が山に向かってきて、なかなかすっきり晴はしなかったものの徐々に好転していきました。

この日は結構アップダウンが多かったように感じます。

北トッタベツ岳、トッタベツ岳を超えていきます。
この辺りはやや岩々していますがライン取りを間違えなければ特に問題ありません。

途中の広場でデンジが歯磨きをしたいと言い出し、日高の中心で歯磨きをすることに笑。なかなか良い写真です。

北トッタベツ岳はとってもかっこよく今回進んだピークの中でも結構お気に入りです。デンジがいい写真をたくさん撮ってくれました。

右手に幌尻岳を見つつ、まずはトッタベツ岳を超えて幕営地を探します。幕営地に荷物をデポして軽装で幌尻岳のピークへピストンする予定です。
トッタベツ岳を超えた次の稜線手前でカール内の少し標高を落とした場所で幕営することにしました。

どうやらこの七ッ沼カールと言うのは多くの登山者の憧れの場所だそうです。
確かに素晴らしいカールでしたが、広いカール内を見ていると、遠くの方でヒグマが走っている気がして目を凝らしてカール内を観察しました。

10:30ぐらいに幕営予定地到着しましたが、この日はまあまあアップダウンがあったこともあり、みんな結構バテていました。
ただ前日と変わって踏み抜きなどはそれほどなく、かなり快適な歩きでサクサク進みました。

荷物をデポして、ザック(ガッシャブルム)の雨蓋にデイジーチェーンをくっつけて、みんなでおそろいのアタック用のショルダーバッグを作りました。

さて、いよいよ幌尻岳のピークへピストンします。なんだかすごく遠そうに見えます。

実際に見た目通り、幌尻岳のピークはまあまあ遠くて「荷物デポできて良かった~」とみんなでボヤきながら進んでいきました。

ただ後から考えたらこのデポした荷物がきっかけでヒグマに目をつけられる可能性もあったと思います。今後はこういったエリアでの行動には気を付けようと思います。穏やかな稜線上では気分が良くなり、みんなで歌を歌いながら進んでいきました。

標高を上げてからも一番奥のピークまで進まないと本当の幌尻岳へはたどり着けません。その稜線をみて「あと2時間くらいかかりそう」とか話していたのですが、実際はその地点からは20分くらいでピークへ。
疲れていて目測が無茶苦茶です。

幌尻岳は日高の中心に位置するようにとても山深い場所にあり、ここに来れただけでも価値を感じさせてくれる素晴らしい場所でした。
ここまでノートレースで我々だけで山を独り占めしている感覚でとても幸せでした。

それから幕営地へ戻り、この日も15:00ごろに行動を終えました。
前日の夜の風が凄かったので、カールの中とはいえこの日は念入りにブロックを摘んで風よけを作りました。
当初の予定では基本的には半雪洞にしようと思っていたのですが、想像より雪が少なく全然掘り下げられないこともあり、毎日テント+雪ブロック壁となりました。

この日の幕営地は雨が降った影響なのか下地の雪が氷状になっていて、ブロックを切り出すのも大変でした。みんなヘロヘロになりながら土木作業を進めます。
今回はガスにかなり余裕があるのでテントの中ではガスの空焚きをたくさんしました。

なっちゃんがウインナーを茹でて振舞ってくれて、私とデンジは「うま!!」と感謝するのでした。

匂いがきついウインナーなんてヒグマのいるエリアに持ってきやがって!と怒っていましたが、おいしかったので許しました。今回は風が強かったので匂いも滞留せず何とかなった気がしますが、こういった行動は褒められたものではないと思います。

また地図を見て、この次の日の行程が地図上では一番長い予定だったので「明日歩けるかな・・」とみんな不安を口にしていました。ここから先の稜線はまたブッシュが多くなりそうだったのでそれも心配でした。

夜は時折風がテントを煽るものの、前日の強い風ほどはなく穏やかに感じました。ただなんとなく寝付けず夜には胃痛が酷くなって苦しい夜を過ごしました。

4日目 七つ沼カール~カムイ岳~エサオマントッタベツ岳

「今日が頑張りどころだ」そんな感じで朝みんなで話しながら、毎日そんなこと言ってんな~なんて談笑。登山なんてそんなもんです。

私は昨夜から胃腸に少しダメージがあって、食欲が落ちていました。カレーメシを食べる気に慣れず、なっちゃんのチキンラーメンと交換してもらいました。
私はもともと胃腸が弱いので山でどうしてもインスタントが多い山食では食欲が落ちてしまうタイプです。だからと言って食べないわけには行きません。

この日の行程が目の前に現れ、当初の目標だったカムイエクウチカウシのほうの山も見えているようでした(実際は遠くてどれかわからないけど)。
南の方の稜線を眺めていると「行きたい」と言う感情がこみあげてきて、「ギリギリまで予備日を使えばあっちまで行けるかも…」と考えたりもしました。

ただ、帰りのフェリー乗船時間に間に合うかかなり際どくなります。下山後の林道歩きと車の回収の大移動があるためです。
そのあたりの時間が読めないので今回は名残惜しくもやはりエサオマントッタベツ岳までの縦走とすることを決めました。

それにエサオマントッタベツまでで切り上げると下山後の日程に余裕ができます。なっちゃんがずっと「富良野に行きたい!」と言っていて、デンジも初めての北海道上陸らしいので、北海道を楽しむのもありかな!と気持ちを切り替えることにしました。

そんなこんなで7ッ沼カールの幕営地を後にして、カムイ岳(神威岳)を超えてエサオマントッタベツに向けて出発しました。
この日は当初の予報通り西風が結構強い一日でした。

また少し標高が下がるのでブッシュがうるさくなり、踏み抜きも増えて、なかなか結構大変な一日になりました。

エサオマントッタベツまでは一般道は無いので、雪稜が切れている個所はハイマツ漕ぎになります。エサオマントッタベツ周辺は破線ルートのようですが、ハイマツの楽園で、地獄のようなハイマツラッセル(藪漕ぎ)となりました。
ただ藪漕ぎはもう慣れっこで、昨シーズンなんてスキー板を担いだ状態でさんざんハイマツを漕いでたのでまあ何とかなるわと言う感じです。
ただ、あまりに濃い藪にブチ切れていて「うがー!」と発狂していることもありました。その様子を見て後ろでなっちゃんが面白がっていて、さらにその後ろでデンジもハイマツに八つ当たりしていたり。北海道の山には藪漕ぎは付き物やだなあ~と言う感じ。

そういえばカムイ岳周辺から突然トレースが現れました。「あートレースか…残念」と言っているとエサオマントッタベツに到着すると消えていました。ピストンで引き返したのでしょうか。
残念がってはいましたが、踏み抜きのあるエリアだったのでトレースには助けられてしまいました。

稜上の雪は崩れていたりして、大穴が隠れていたりして、一度踏み抜きと腰まですっぽり落ちてしまうこともありました。
大穴に落ちて、ザックが引っかかって足が宙に浮くような状態になることもありました。

とにかく今日も焦らずゆっくり進んでいき、何とかエサオマントッタベツ岳に到着。これまで歩いてきた道のりを見渡して感動。
この日の目標はとりあえず達成!のはずだったのですが、西風をよけられる地形が見当たらない。

少し沢筋におりましたが、西風が強すぎてちょっと寝られなさそう・・ここまでも連日寝不足です。

これだけ風が当たるとまた夜落ち着けないので、疲れ切った体にムチを打ってもう少しだけ頑張ることに。
「しんどいけどもう少しだけ藪を漕いで、東の尾根に移動しよう!」とみんなを奮い立たせ、移動することに。

ここまでで結構疲労していてこれ以上一歩も動きたくない気分でしたが、最後の根性の藪漕ぎ。
ちなみにエサオマントッタベツ周辺は破線ルートになっているようですが夏道はほぼ藪(ハイマツ)に呑み込まれていて、かなり不明瞭でした。稜線付近は少しマシですが、雪が崩れて安定しません。
これが仮にも一般道かと。流石北海道!山はこうでなくちゃ?(しんどいけど)

何とか藪の斜面を進んで、東の尾根へ進みました。こちらに来ると風が驚くほど弱くなりました。
頑張ってよかった。ただ地形図を見て幕営に良さそうな大地は藪の楽園だったのでその手前の稜上に幕営することにしました。

またまたヘロヘロの体で土木作業(整地)を頑張ります。この日もなかなか快適な寝床ができました。
明日は下山して、その後は富良野でソフトクリームを食べるんだ!!

この夜は西風はすごかったので風下とはいえ、稜にあたった風が回り込んできてテントを叩きましたが、入念にブロックを積んだため比較的穏やかに過ごせました。
この日の夜の会話でなっちゃんもデンジも靴が濡れてきたようです。私は靴自体は濡れていないものの、ネオプレンソックスを履いていたせいで、足が臭すぎてヤバかったです。

なんやかんやで結局夜はなかなか寝付けない感じで気付いたら朝になっていました。山で快眠はなかなか難しいです。

5日目 札内岳~ピリカペタヌ川沿い~下山(トッタベツヒュッテへ)

遂に下山日です。

当初の予定より2,3日早い下山ではありますが、もう結構みんな疲れていました。
もしこの先さらに縦走を続けるのだとしても、途中でレスト日(行動時間を少なくするなど)を設定しなければ厳しかったかもと思いました。今後の山行に行かしていきたいです。
雪が少なかったので体力を消耗するシーンが多かったことも原因だと思います。

残雪期はラッセルがない分1日の行動距離は夏と同じくらい伸ばせますが、かといって雪が無いわけではなく、藪や踏み抜きもあります。そして何より靴も装備も冬用になるので装備が多く思い割に行動量が多いため、実は一番疲れる時期かもしれません。

今日はエサオマントッタベツ岳から東に延びる稜線を進み札内岳まで歩き、そこから札内岳の北東に延びる尾根を使って下降します。
この尾根は冬は良く登られているルートのようですが、この時期は下部はかなりの藪で下山が大変でした(後述)。

前日に疲れてしまったのでいつもより出発を1時間遅らせ6:00ごろに行動開始。
札内岳まではすぐのように見えましたが、稜上は雪が崩壊していることも多く、右往左往とラインを取って意外と時間がかかってしまいました。

この稜上の途中、広いコルにヒグマの足あとを発見しました。この足跡はかなり新しそうに見えました。
広い穏やかなコルや居心地の良さそうな場所はヒグマにとっても通り道のようなので、この後は休憩などはそういった場所は避けることにしました。

焦らず進んで、9:00ごろにようやく札内岳へ!

これにてあとは下山のみです(少し登り返しはありますが)。前日くらいからデンジが「行動食がなくなりそう」と言っていて、この時も心配そうにしていました。
自分は何だかんだ7日分の行動食を持っていたので実はまだまだありました。

札内岳からこれまで歩いた道のりを見返して、下降路へ。何時ぐらいに降りれるかな?そんな話をしながら。

下山途中にさらに2度ほどヒグマの足跡を見ました。こちらはそれほど新しくなさそうでしたが、やはり穏やかなコルや歩きやすい緩斜面はクマにとっても通り道のようです。
また、野生の狐も観ることができました。かわいかったです。

クマと遭遇したくないので、皆で大声で歌を歌いながら、アピールしながら進んでいきました。
2度ほど登り返しを終えて、沢へ下降する広尾根に入りました。

標高を落として沢筋へ降りる穏やかな尾根ですが、中盤以降はかなり雪が少なくなって、かなり歩きにくくなりました。
雪がかろうじて繋がっている部分を進みますが、笹の上に雪が乗っているだけで足元が滑ってしまいます。

途中デンジがバランスを崩して滑り落ちてきましたが、なっちゃんがガシッと受け止めてくれました。
雪はずぶずぶなのですが、笹が滑って危険なのでアイゼンを履くことにしました。

段々と雪渓が繋がっている部分もなくなって地獄のような藪漕ぎへ。
私が先頭を歩いています。大抵はどんなに濃い漕ぎでも獣か人かわかりませんが多少の踏み後が見えるような弱点があるので、それらしきところを進んでいきます。
ただ、こういった跡は獣が通った跡であることも多く、クマの通った可能性もあるような気がしてとても怖かったです。
でもとにかく進むしかない。

クマを警戒して「おーい!おーい!」と大声を出しながら藪の中を進んでいきます。もはや傍から見たら遭難です。

下降するほどに藪は濃くなり、完全な藪漕ぎになりました。
GPSを確認しながら進んでいくと沢の音が近づいてきて、尾根の末端まで進んでいきました。このルートは雪がないときにはあまり使わないほうが良さそうです。クマも出そうでなかなかかなりサバイバルな感じでした。

13:00ごろにようやく藪を抜け沢に降りました。とにかく一息。

そこからも沢の中も藪がひどくて、ピリカペタヌ川に合流するまでは消耗する沢歩きに。
なっちゃんは死にそうな顔で「満身創痍です」と言いながらも頑張って歩いています。

ここまで大変な下山になるとは、二人に申し訳ない。でも進むしかない。歩きにくいため想定より時間がかかってしまいました。
何とか広いピリカペタヌ川に出ることができました。

ピリカペタヌ川は河原歩きですが、雪がないこの時期は徒渉が何度も必要でした。最終日なので良いかとあきらめて靴のままジャバジャバ徒渉。
冬靴がすっかり臭くなってしまいました。

この後地形図は林道が見えていたのですが、すでに完全に崩壊しており、想像する林道とは全く異なるワイルドなものでした。たまに標識やカーブミラーがあって「昔はここに車が通れる道があったなんて信じられない」と言う状況でした。

そんなこんなでひたすら歩いて、17:00ごろにようやくトッタベツヒュッテにたどり着きました。

トッタベツヒュッテで電波が入らない!

ようやくここまで来たか―!お疲れ様ー!って感じだったのですが…

なんとトッタベツヒュッテで電波が入らない。車は伏美岳の登山口手前のゲートにあるので事前に手配をしていたタクシーを呼びたいのですがかないません。
とにかく電波が入る場所まで歩くしかない。

尾根上はしっかり電波が入っていたので何とかなるだろうと思っていましたが、甘かった!

2時間近く未舗装の車道を歩いて何とかauの電波を1本拾ってタクシーを呼んだのでした(docomoはその場所では繋がりませんでした)。
遠くまで来てくれたタクシーの運転手さんには心から感謝です。来てくれた時には神に見えました。

そういえば北海道ではdocomoよりauが圧倒的に電波が入りました。

タクシーは事前に見積もりをお願いしていた時の金額30700円となりました。3人で割るので一人1万円ほどです。

遂に下山!

そうして、タクシーで入山口に戻り、車も無事でした。入山口には他に2台ほど車が止まっていました。
身体が臭すぎるのでとにかくお風呂に入りたい!ということで、さっさと帯広市街を目指しました。

お風呂は「天然温泉 やよい乃湯」へ行きました。露天風呂など複数の湯舟があってかなりよいお風呂でした。ただ、シャンプーなど備え付けがなかったので別途購入しました。
その後、「居酒屋 あまやどり」さんで海鮮ものをいただきました。豚丼と海鮮のセットもあったりして、ボリュームのわりにリーズナブルで下山後の体には染みる料理をいただきました

下山後!富良野・美瑛観光と支笏湖観光とグルメ旅。フェリーに乗るまで。

これにて登山は終了です。この後1日半北海道での滞在は続きます。ここからはその記録です。

富良野・美瑛での観光

帯広から富良野へ移動します。

朝一から移動しました。道中ヒグマの牧場がある!と言うことで山でヒグマの足跡を見たので是非ヒグマを見たいとのことで「サホロリゾート ベア・マウンテン」に行きました。

園内をヒグマが暮らしいているのですが、展示エリアで水浴びしたりじゃれあっているヒグマが見れてとても迫力がありました。

この熊を見て「山で出会ったら絶対に勝てない」と思いました。
クマに出会ったらとにかく「走って逃げない」が大事だそうです。習性で必ず追いかけてくるそうです。ヒグマは時速50km/hで走れるので絶対に逃げれません。

その後は通り道にあった富良野チーズ工房へ寄り、その後富良野のオムカレー屋へ。ただ行列が凄かったのでピザ屋さんへ移動しました。

その後「ファームズ千代田 ふれあい牧場」へ行きました。
ここは無料で入場できる動物触れ合い施設で、ウサギ、ヤギ、ポニー、乳しぼり体験(有料)など動物好きにはたまらない牧場でした。


また道中の景色も最高で美瑛が大好きになってしまいました。

またこの牧場で食べたジャージー乳のソフトクリームがめちゃくちゃおいしくて、今まで食べたどんなソフトクリームよりも私は好きでした。甘さが控えめで、コクの強い牛乳をそのまま食べているような感じでした。また行きたいです。

その後、青い池に行きました。有名な観光地のようです。池は青かったですが映える写真はイマイチ取れませんでした。駐車場も有料だし、ここは別に行かなくてもいいかな?と思ってしまいました。ただ、青い池の手前にある道の駅 びえい「白金ビルケ」はとても良い道の駅でした。

夕食は昼に食べられなかった富良野のオムカレー屋「唯我独尊」にリベンジ。
何とか並ばずに入ることができました。

ただし、かなり辛いカレーで我々は3人とも辛いのが苦手なタイプだったため、かなり苦しみながら食べました。ごはんが残っている限りルーはお替り自由なのですがとてもじゃないけどお変わりはできませんでした。

牛タンオムカレーを食べたのですがブロック状の牛タンは仲間で柔らかくとてもおいしかったです。辛くないカレーのメニューもあれば良かったな…と思いました。

その夜はかなり雨が降る予報だったのでどこで泊まるか迷っていたのですが、地元のライダーハウスを見つけて急遽止めてもらえることになりました。
古民家におばあちゃんが居て、とても懐かしい雰囲気でした。

この度の中でも結構印象深い場所となりました。

幌尻岳の登山バッチを手に入れに振内の「山の駅ほろしり館」へ

最終日です。苫小牧のフェリーターミナルへ移動するのですが、私にはどうしてもやりたいことがありました。

それは「幌尻岳の登山バッジを手に入れる!」です。

ミーハーですが私は百名山バッジを集めていて、今はそれほど熱中していませんが60個くらい持っています。
昔、幌尻岳に来れなかったという思い出もあって何とかバッジを手に入れたかったのです。なので「とよぬか山荘」に行ったのですが、なんと営業時期ではなく手に入りませんでした。

ネットで調べると「山の道ほろしり館」でも手に入ったという記録を見て行ってみることに。
そしてなんと手に入りました!

「山の道ほろしり館」の営業時間前に到着してしまったので近くで時間をつぶしていたら「鉄道記念館」なるものがあり、北海道の鉄道の歴史を知れて楽しかったです。

支笏湖・六花亭・苫小牧で海鮮丼を食べフェリーへ

なっちゃんとデンジがやたらと湖に行きたがっていました。洞爺湖などを希望していたのですが、少し遠いので支笏湖に行くことに。
私は湖はそれほど興味なかったのですがスワンボートに乗れるということでテンションが上がってきました。

実際にスワンボートに乗ったのですが風が強く湖の波が高かったので、かなりボートが揺れて結構怖かったです。転覆するかと思いました。

この湖は透明度が日本一とのことだったので、スマホを水中に入れて動画を撮ってみたのですが確かにかなり透明で美しかったです。

そのあとは六花亭に行ったり、海鮮丼を食べたりしてフェリーの時間まで北海道を堪能しました。

いかがだったでしょうか

今回は登山だけでなく北海道を色々楽しめたツアーとなりました。

昨年は知床あたりに行って、今年は日高。
また来年も北海道に来れたらいいな!なんて思いました。

今回の登山旅の映像は動画にもしていますので興味のある方はこちらからどうぞ。