落氷で顔面(唇の上を)をケガして病院で縫った話【アイスクライミング】


今回、怪我(特に命に別状はない)をしたので記録しておこうと思います。
上州エリアでアイスクライミングをしたときの出来事で、唇の上を切って病院で縫ってもらいました。

アイスクライミング中の落氷で顔を怪我した話

上州エリアで氷を登ろう!
と言うことで、先輩たちとアイスクライミングをしに行ったのですがこの日の氷は少しいつもと違っていました。

表面の氷が異常に脆く、叩いて叩いて割れる層を落としてからしかアックスを決められない、と言う条件でした。

後から聞いたら別のエリアでもそんな感じだったようです(理由はわかりませんがいったん暖かくなって急に寒波がきたから?)。

エイプリルフールと言う滝の2P目をリードしていた時に、段になっている場所の乗越あたりで表面の氷にアックスを打ち込もうと、叩いて(砕いて)いた時のことです。
それまでも叩いた氷はボロボロ剥がれ落ちていたのですが、でっかい氷の塊が顔面に向かって吹き飛んで来ました。

顔に当たったって「いてー最悪だ!ちくしょー」とか独り言を言いながら、剥がれた氷の下側の層に、次のアックスを決めると、なんだか血がボタボタ落ちていることに気付きました。

あれ?と思ってグローブで口元を触るとグローブにべったり血がついています。
毎度のことながら血を見るとやっぱり少し混乱します。あちゃー!と思いました。

登るか?降りるか?うーん、血はすぐ止まるかな?

なんて思いながら。ちょっとその体制のままもモジモジしていました。
口元をぬぐってみると、どうやらパックリ切れているような感じがしました。
血はなかなか止まりません。アックスはよく決まっていて足元も安定しているので、とりあえずスクリューを決めてテンションかけてもらいました。

スマホを胸元から出して、カメラのセルフィ―モードでケガを確認してみると、唇の左上が切れていて、目玉みたいにパックリと開いていました。

切り口は小さいですが結構深くてガバっと開いている感じでした。
見てるだけで怖い!私はあまり大きな怪我をしたことがないのでケガを見るのは苦手です。
とにかく出血を止めるには傷口を閉じなければならないと思いましたが、空荷で登っていたのでピンチパック(救急セット)などの荷物は取り付きにおいてきてしまいました。
傷を閉じて圧迫するしかなさそうなので、傷を手(グローブ)で閉じて押さえることにしました。

怪我してから下山するまで

ビレイしてくれてる先輩に「切れちゃいました!結構ヤバそうです」と伝えました。
声が届く範囲で、またロープが半分以上出ていなくて良かったです。
傷は手を離すとパカっとひらいて血が出てきてしまうので、傷口から手を離すことができませんでした。

そこから最終スクリューでロアダウンしてビレイヤーと合流しました。

その後はロアダウンしたロープでそのまま先輩が登って(自分はビレイして)、私が最後に決めたスクリュー(プロテクション)からは普通に上までリードで登って、上の支点で懸垂下降しつつプロテクションを回収してもらうことにしました。
自分も上まで行きたかったのでちょっと不完全燃焼な気分でしたが、傷の状態がいまいちわからず怖い気持ちもあり、早く降りたいという思いもありました。

降りてきた先輩には「氷が血だらけやった!」と言われました笑。やはり顔は出血が多い箇所ですね。

手で傷口を抑えているとくっついた気がしましたが、両手を使う必要がある際に手を離すとパカっと開いてスース―するような感じがありました。
なので、できるだけ手で押さえているようにしました。

1P目の滝はロアダウンで降ろしてもらいました。
そして、下の滝で練習していた仲間にも怪我の状況を伝えてそちらも回収して下山することになりました。
折角来たのに自分のせいで早く切り上げることになって申し訳なかったです。。

下に降りて別の先輩に傷を見てもらうと「結構ヤバいよ縫ってもらったほうがいいんじゃない?」と言われて、慌てて自分のピンチパックを取り出して鏡(たまたまコンタクト用に入れていた小型手鏡)で確認すると、抑えている手を離すと「パカッ」と傷口が口を開けて血が出るのが見えました。

もう傷ができてから1時間ほどたっていましたが、まだくっついてはいませんでした。多分ロープを操作したり、動いたりすることもあったのでずっと圧迫できていなかったためだと思います。

とりあえず傷口を継続的して圧迫し、接着させたかったので絆創膏で傷口がくっつくようにテンションをかけて止めました(これが正しいかは不明)。
それでも唇って意外と動く部分で、油断すると傷口が開く感覚がするので絆創膏の上から手で押さえることにしました。
気温が低くて鼻水がでるので絆創膏の接着部が剥がれてきてしまいました。

先に荷物を片付けて、ゆっくり下山を始めました。

小一時間で車まで戻れました。アプローチが長くなくてよかったです。
私の車で現地まで来ていたのですが、帰りは先輩が運転してくれて私は後部座席でゆっくりしていました。

車についてから絆創膏をさらに追加して傷口がしっかり密着するように圧迫したので帰りは圧迫している手を放して車に乗っていました。
血はにじんできていましたが、傷は閉じていたと思います。

救急外来のある病院で縫合処置

2時間ほどして家の近くまで戻り、解散。

私は日曜日に受診できる救急外来?のある病院へ向かいました。
空いていたのですぐに診察してもらえました。

絆創膏をはがすと、傷口は圧迫していたおかげで一旦はくっついて出血も収まっていました。痛みもありませんでした。

診察の結果縫合することになり、いったん傷口を開いて中を洗浄して、それから処置すると言うことで、局所麻酔?をして作業することになりました。

麻酔の注射は結構痛くて私は注射嫌いなので目を閉じて手を握りしめて耐えました。
私はどこかを縫うような怪我は初めてで怖かったです(ビビりです)。

麻酔を打ってからは感覚が全くなくなり、その後処置をしてもらいました。
唇なので何が起こってるのかいまいちわからなかったので天井の模様をずっと見ていました。

自分
傷は深いですか?

と恐る恐る聞いたら、

お医者さん
うーん、縫わないで放っておいていい傷ではないですが、、僕たちは唇が脱落するとか、そんな重症のケガを見ているから…まあ、そんなもんですね

みたいに言われて、「ほえー」となっていました。やっぱ救急外来は恐ろしい場所のようです。
唇が脱落しなくて良かったです。

傷口の中と外を縫合してくださって、食べ物など食べるのに唇を動かして良いように縫合した、と伝えてもらいました。麻酔は1時間ほどで切れました。

1週間くらい後に抜糸のための来院予約をしておしまいとなりました。

抜歯した直後の様子が下の画像です。

救急外来の診療料金

今回、通常の料金に加えて8000円ほどの追加の救急料金?みたいなのが上乗せされていました。
休日に対応してもらって大変ありがたいですが、保険適応とは別途このような費用がかかるのだなあと知りました。
ただ、大して重症じゃなかったかもしれませんが、1日たつとまた傷口の状況が変わっていたと思うのですぐに病院に来るのは正しかったと思います。

今回の教訓

今回の教訓は「アックスを打ち込んで打った箇所の氷が壊れそうな時は下を向いて頭(ヘルメット)で氷を受けろ!」です。

落氷や自分がはじいた氷で顔を切ることはよくあると思いますが、今回のように氷が壊れやすいとわかっているなら、氷から顔を守るように行動するべきだったと思います。
私はアックスを打ちながら氷が砕けていく様子をよく目で見ていました。見ていたらそりゃ顔に飛んで来たらよけるのは難しいですよね。反射神経が良ければ可能かもしれませんが、結構至近距離です。

今回の氷はかなり砕けやすくて、ボコボコ表面をはがさないと安定した層に打てない感じだったので、こんな時は氷はメットで受けるのが正解だったようです。
また、今回の件を受けてバイザーを買おうかなと思いました。

邪魔くさそうなのであまり好きではないですが、山に行くときは使わないにしてもゲレンデやアプローチの短い場所にトレーニングで登りに行くようなときは使ってもいいのかなと思いました。

また、今回切ったのは唇でしたが、目に当たっていたら失明していたかもしれません。

それにアプローチが比較的短いゲレンデ的なアイスクライミングだったからよかったですがこれが山の奥深くの氷の登攀中の怪我だったら大変だったかもしれません。

怪我に備えてやり方を気を付けたり、装備を整えたりする教訓になったと思います。
同行者の皆様にはお世話をかけてしまいました。

唇の上って意外と動く部分みたいで、飲み物を飲んだり、歯磨きをしたり、あくびをしたりすると痛かったりします。ケガはしたくないものです