【登山】上ノ廊下~祖父沢を歩き雲ノ平へ!水晶岳、赤牛岳、読売新道へ北アルプス最深部の大冒険【山行記録】

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やまにちは!まっつんです。ツイッターYoutubeもやってます。

今回は黒部ダムから上ノ廊下から祖父沢を詰めて雲ノ平まで歩き稜線へ。そこから雲ノ平~水晶岳~赤牛岳~読売新道を縦走して黒部ダムへ下山した山行を記録したいと思います。

今回のメインイベントはやはり上ノ廊下の遡行でしたが、それ以外にも山の中をたくさん旅することができたのでとても満足いく山行となりました。
沢を歩き、稜を歩き、と憧れのルートを旅するとても充実した山行となりましたので記録します。

この記録はYoutubeにも投稿していますので記録と併せて映像もご覧になりたい方は是非チェックしてみてください。

>>Youtube動画<前編>はこちらから
>>Youtube動画<後編>はこちらから

上ノ廊下ってどんなルート?

上ノ廊下とは黒部川の上流で、北アルプスの高峰の峰々から流れる水を一手に集める大きな川の一つ。
その川は黒部ダムに注ぎ込み、ダムを介してそこから下は下ノ廊下と呼ばれます。

下ノ廊下は紅葉時期に開通し、阿曽原温泉まで歩くことができる川沿いの絶壁を通る歩道で登山をする人なら知っている場所の一つでしょう。

上ノ廊下は登山道などはないので沢の中を遡行していくしかありません。

私は沢登りを始めるまでは「上ノ廊下」という場所をほとんど知りませんでした。下ノ廊下は歩いたことがありましたが、ほとんどの人はその上流部のことを知らないのではないでしょうか。
地図を見ると黒部川からずーっと長く源流までの概念を見ることができます。

普通に登山をしていると基本的に尾根や稜線を進むことが多いですが、地図を見ていると沢の底、谷の底っていったいどうなってるんだろう。
この沢を遡行することができるんだ、行ってみたい!と少しずつ思いを馳せていました。

「上の廊下」というルートの特徴と難易度

多くの記録ではこの沢の難しさが良く記されています。総合的な判断力が重要になると感じました。滝の登攀はありませんがある程度の泳力がある人がPTに1人はいること、メンバー全員がクライミングがある程度できると良いと思います。クライミング要素はありませんが岩に慣れているとヘツリなどの効率が上がると感じました。

水量の多さ

特に水量が多い沢であること。この計画を立てたとき、仲間にも水量についてのことをよく聞かされていました。
「沢登り」と一言に行っても色々なタイプの沢があって、それは場所や地形によって大きく異なります。

自分には上ノ廊下のように水量が多い川を遡行(沢登り)をした経験はなかったので、なんだか恐ろしくも感じていました。

沢において抗うことのできない水の怖さは体験したことがあります。
「水」には自分が制御できる範疇を超えたリスクがあって、それはまさに「大いなる力」であると感じます。
水は怖い、とよく言われますがまさにそれです。

天候の不安定さと遡行の行程の長さ

このように上ノ廊下の難しさはその水量の大きさですが、その水量は天候によって大きく異なりますが、実際には北アルプス北部という天候の安定しないエリアにあります。

また、この長大な川を遡行するためにはある程度まとまった日数が必要となるので、多くの遡行者はお盆休みなどの大型連休に入渓します。
この時期は梅雨の雨量の影響があったり、雪渓が多く残っていたり、場合によっては早めの台風の発生の影響だったり…となかなか安定しない時期でもあります。
秋などに行くとグッと水量が少なくなり、かなりスピーディに遡行できると先輩に聞きました。ただ、寒そうです…

電波が入らない

上の廊下は入渓してしまえば電波はなく、最新の天候を知ることも困難です。天気の影響を受ける水量によって難易度が大きく変わる上の廊下ですが、外部との連絡ができないのはかなり厳しいです。
天候の変動が起こりやすいこのエリアで、最新情報を得ることができません。

また、行程中に何らかの事故や問題が起こった場合は致命的です。電波が入るエリアにて救助要請を行う必要がありますが、遡行を進めて薬師沢小屋までたどり着くか(薬師沢小屋自体は圏外)、周囲の尾根(通信圏内とは限らない)にエスケープするなどが必要になってきます。

今回の山行内容(概要)

私たちの行程は計画では5泊6日でしたが、結果的に4泊5日となりましたので、その行程を記しておきます。

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1日目 黒部ダム~上の廊下入渓し、下の黒ビンガ手前の広い場所で幕営
2日目 下の黒ビンガ終盤~上の黒ビンガ~立岩奇岩~幕営(立岩奇岩から薬師沢小屋の中間あたりの場所)
3日目 薬師沢小屋~奥ノ廊下~赤木沢出会い~祖父沢~雲ノ平(幕営)
4日目 雲ノ平~水晶岳~赤牛岳~読売新道~奥黒部ヒュッテ~船着き場周辺(幕営)
5日目 船着き場~黒部ダム
1日-7:00 扇沢バス~13:30奥黒部ヒュッテ~15:30下の黒ビンガ(幕営)
2日-5:00行動開始~14:00立岩奇岩~16:00幕営
3日-6:00~7:30薬師沢小屋~14:30雲ノ平(脱渓)、雲ノ平キャンプ場(幕営)
4日-3:50~10:00赤牛岳~13:30奥黒部ヒュッテ~16:00幕営
5日-6:20渡し舟~10:00黒部ダム

上ノ廊下でみんなどんな装備なのか?って微妙にわかるようでわからなかったので、今回の装備を簡単に記録しておきたいと思います。

ギア
ハーフロープ7.1mm 30×1、ハンマー、ピトン多め(4,5くらい?)、スリング類、確保器等、捨て縄など
遡行中のウェア
ファイントラック ドライレイヤーウォーム上下
モンベル クリマプレン パドリングジョン
モンベル クリマプレン パドリングフルジップ ロングスリーブ
モンベル クリマプレン プレーンソックス
ライフジャケット(空気式)アマゾン
モンベル ゼロポイントの沢用ハーネス
ザック ガッシャブルム
モンベル サワークライマー
(記事の最後にいくつか装備内容をリンクしておきます)

普段沢登りに持っていくような膝宛てや脛宛てなどのプロテクターは水流でずれて邪魔になりそうなので持っていきませんでしたが、快適でした。

ライフジャケットについては、エア式のものを持っていきました。Amazonで買える安いものです。エア式は小さくなるので持ち運びが便利なのとヘツリや岩などで小さくできるのもメリットです。
ただパンクするリスクがあり、実際今回の山行中に空気が抜けるようになってしまいました。昨シーズンから使っているので劣化していたかもしれません。
小さく軽いので予備を持って行っても良いと思いますし、行動しながら空気を吹き込めるので多少エア漏れがあっても空気を入れながら誤魔化して使うことができました。

寒さ対策

私は沢登り中の冷たい水が本当にとっても苦手です。いつも寒い寒いと騒いでしましますが本当につらいのです。

上ノ廊下が寒いというのは多くの記録から読んでいて、下手したらお盆でも水温が10度を切るような場面があるということに恐れていました。
そのため、モンベルのクリマプレン パドリングシリーズ(2.5mm)を上下揃えていきました。

ちなみに私にとってはこれが大正解で、寒いとほぼ感じませんでした。水はもちろんたまらなく冷たい瞬間はあるのですが、ウェットスーツの保温力に助けられました。
寒いと我慢し続けて体力を消耗するので今回はとても快適に遡行することができて満足でした。
ちなみに脱渓後には恐ろしく嵩張る荷物になることは言わずもがな…。

メンバー

今回のパートナーは良く沢に行く仲間(男性)でんちゃん(仮名)と2人パーティです。リーダーはでんちゃん。

私が沢登りを始めるよう熱心にプレゼンしてくれた仲間です。

ちなみに今回上ノ廊下がなかなか効率よく遡行できた理由の一つに、我々の身長が高かったことが挙げられると思います。
でんちゃんは177cmくらい(だっけ?)で私は170cm身長があり、お互い重心が高めのため、結構深くて水流のある場所でも足がある程度つくため徒渉は効率が良かったです。
徒渉が本当に多い上ノ廊下では身長が高いほどに有利だと感じました。身長が高いことがコンプレックスの私ですが今回は良かったです。

ちなみに私は特に序盤の徒渉でビビりまくってましたが、
でんちゃんはウェイトもあり、体幹も強くメンタルも強いので徒渉の安定感がすごいです。二人ともクライマーです。

食事

今回はお米を炊くことにして、生米をもっていきました。一人1合夕食。
朝食はモンベルのアルファ米、行動食はおかし等カロリー1000~1300kcal。



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1日目 黒部ダム~平の小屋~奥黒部ヒュッテ~上ノ廊下入渓~下の黒ビンガ手前

黒部ダム~入渓までの長い平坦アプローチ

この日はアプローチ+入渓の日。
アプローチは平坦だけど長く、黒部ダム~平の小屋まで歩き、船で対岸へ渡る。その後奥黒部ヒュッテまで進み、その周辺から上ノ廊下へ入渓となる。

入山前の予報では台風の発生が認められ、ちょうど入山日から2日後に天気が荒れる可能性が高いということだった。

まず扇沢から黒部ダムへ入るが、諸事情でバスの始発に乗れず7:00のバスに乗った。

平の小屋横の渡し船は10:00に間に合わなければ12:00になってしまうため、できれば扇沢のバスは始発に乗りたかったが、結局10:00の便はあきらめてのんびり歩いていたら、なんだかギリギリ10:00に間に合いそうになってきて、慌ててみたけれど時すでに遅しで10:07に乗り場につき、すでに出発してしまっていた。
道中、徳光さんによく似たおじさんとすれ違った。おじさんは五色が原のほうから一人で歩いてきたらしく、そても幸せそうな顔をしていた。なんとなく久々に父と山を歩きたくなった。

平の小屋で昼寝したり小屋のおっちゃんと話したりして2時間のんびり休憩。どうやら先行で3PTいるらしいとのこと。始発で入ったパーティだろう。

平の小屋の渡し船の時刻表はこんな感じ。

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12:00になってボートに乗って対岸に渡る。この渡し船を渡ってから奥黒部ヒュッテまでもまだ歩道が続く。

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なんだか木の梯子がたくさん出てきて結構しんどい。木道がぶっ壊れて転落する気がしてちょっと気が気じゃなかった。

14:00くらいに奥黒部ヒュッテについただろうか。入渓者はここでも計画書を提出する。ほかの登山者は小屋のノートに計画書を張り付けているが、我々は予備の計画書を持ってこなかったので手書きで書いた。
上ノ廊下は遡行を進めると必ず薬師沢小屋にたどり着くが、どうやらこの計画書で入渓者の無事を確認してくれているらしい。
上ノ廊下内は電波が一切入らないので何かあっても連絡がつかないので、これはかなりありがたい。

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上ノ廊下入渓~下の黒ビンガ手前(幕営地)まで

小屋から少し戻って上ノ廊下の入渓点を目指して歩いていく。今日は晴天で、河原の石の照り返しが眩しい。気温も高く早く川に飛び込みたい気分だった。
でも実際は明日以降にこの天気であってほしいと思った。

沢用の装備を詰め込んだガッシャブルム(ザック)は大きく膨れ上がっていた。遡行だけでなく縦走もしようという欲張りプランなため泊数が増えて食料も多いが、見た目はデカいが重量は大したことなく20kg少しといったところ。嵩張る沢装備(ウェットスーツや沢靴)を着てしまえばサイズはかなり小さくなり、雨蓋も取り外して中に入るくらいになった。

最初の徒渉ポイントに到着しようやく沢に入れる。もう暑くて汗だくだった。平の小屋のおじさんに水量が多く最初の徒渉が難しいだろう、と聞かされていたので少しビビっていた。
釣りして帰るプランになるのか?みたいな話を仲間としていた。

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上下ウェットスートに着替えて入渓。
私は川幅の大きな川の徒渉の経験は殆どないので、最初の一回目の徒渉はかなり緊張した。流れに逆らわず少し下流のほうを向きながら、進んでいくと良い、と言われその通り歩いてみると渡れた。
ビビりなのでもし流されたらどうなるんだろう、とかそんなことばかり考えて足がすくんでしまう。

上の廊下はゴルジュ地帯以外は河原歩きが多い。1日目は特に水につかっているよりも河原を歩いている時間が長かったように思う。
河原歩きではいいペースで歩いてできるだけ距離を稼ぎたい。
いくつか徒渉や泳ぎを交えながら、進んでいった。でかい荷物のせいかアプローチでもまあまあ疲れていたようで、お互い足が吊りそうという話になって下の黒ビンガ手前のゴルジュっぽいところに入る前の広い場所で幕営することにした。15:30ごろ。
ところで「ビンガ」って何なの?と思っていたけどなんだが岩々した壁が目の前に見えてきて多分これだろうと話していた。
後々調べると「ビンガとは富山の方言で岩壁である」との記載が。よくわからないけどなるほど~?

ビンガとは大岩壁の意味をさすこの地方(富山)の方言です

ちなみに、パートナーは食生活を豊かにするためにレトルトカレー(良いやつ)を大量に持ち込んでいて、荷物が驚くほど重かった。

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ただでさえ泳ぎが大変という前情報があるにも関わらずデカすぎる荷物をもって我々は遡行できるのか(泳げるのか?)とたびたび不安になった。
まあ結果的に荷物の大きさは泳ぎや徒渉でさほど気にならなかった。

どうせ難しいところは空荷で突破するし、大きな荷物は浮力が凄くて背負ってるだけで浮袋で個人的には安心感があった。

上ノ廊下は全体を通して広い川と河原があるため、どこでも幕営できる。一般的に幕営されている地点を下調べしてはいたが、どこでも幕営できるなと感じた。
この日のテント場も河原の砂浜の上で最高に寝心地が良かった。

釣りと焚火で焼き魚を食べる

テントを張ってから、薪を集め焚火の準備をして、それから釣りをしてみることにした。
先行パーティがいるので釣れないかもと話していたが、なんと竿を2振りしたら岩魚(いわな)が食いついてきた!

魚影は全く見えなかったが一瞬で釣れてしまった。ビギナーズラック?いや、ポイントの選び方が良かったということにしておこう!

私は実は沢では自分の力で釣れたことがなかったため「自分の釣った魚を食べる」ということをこの夏の目標にしていたのだ。
まさか釣れると思っていなかったので、テントにナイフやらを置いてきてしまっていたので、でんちゃんが捌いてくれた。
お世話になります。

20センチ少しくらいの大きさで夕食を彩るには十分。私は夕飯の準備をすることにして幕営地へ戻った。
パートナーは別のポイントで釣っていたがつれなそうで、私のいたところで竿を振っていた。するとなんと30cmほどもある巨大ニジマスを釣り上げた。

私にはめちゃくちゃおいしそうに見えたが、ニジマスは臭いらしくちょっと微妙な顔をしていた。
焚火をして遠火でゆっくり焼いて夜を楽しんだ。
薪や流木はよく乾燥しており今までにないくらいファイヤーした。

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2日後に天気が荒れる可能性が高いので、翌日に上ノ廊下の中でも水量の影響を受けそうな箇所は突破してしまいたいと話していた。
「明日とにかく頑張ろう」みたいな感じで気合を入れた。
沢泊の良いところは水に困らないところだなとよく思う。

2日目 下の黒ビンガ~上の黒ビンガ~立岩奇岩~幕営地

出発~下の黒ビンガ付近のゴルジュ突破

ふかふかの砂浜でぐっすり眠れた。南部の低標高の沢のように虫やヒルに恐れる必要もないし、海のように寝心地の良い砂浜だけど磯臭くもないし、北アルプスの沢は最高だなと思った。
まあ水は冷たいんだけど・・。

朝一5:00に出発して下の黒ビンガのちょっと核心っぽいところに差し掛かろうとしていた。
口元のタル沢のあたりで先行PT(3人?)が幕営していたようで、我々が突入していくのをしばらく見ているようだったが、その後撤退していったようだった。
撤退するパーティを見ると不安になる。なぜ撤退するのか、等情報を聞ければよかったがもう進んでしまっている。

両側が岩のゴルジュ地形で、後から考えたら多分全体を通してここが一番の核心だったように思う。
水流を見ていたが特に危険もなさそうなので、ロープを出して泳いで渡って突破することにした。

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まずは私が泳いで対岸へ渡ってみたが、取り付いた所がホールドに乏しく、上がれずに戻ってきた。失敗した!
次にでんちゃんが行って、私が取りついたところより少し上のホールド豊富そうなところをめがけて泳ぎ、あっさり突破。
なぜあそこに向かわなかったんだ!と言われたが、自分でもわかっていたのでちょっと悔しかった。
本音は泳ぎだしたときはそこを目指していたのだけど、平行にしか進めず、たどり着けなかった。離陸位置をもう少し上にすればよかったのだ。

でんちゃんは取りついたところから少し上に上がって支点をつくり、私はロープでぷか~っと引き上げられる。
ガッシャブルムをロープに取り付けそれに浮き輪みたいに取りついた。
荷物に水がたっぷり入ったせいで、渡ったところで担ぎ上げるときに「なんだこれめちゃくちゃ重いぞ!」となった。

そのままクライムダウンできそうだったが、よく効いた残置ピトンとスリングがあったので(念のためバックアップを打って)懸垂で3m弱ほど下降した。
あとから聞くとここは右岸から巻いているPTが多いようだが巻きが悪いらしい(先行2PTも巻いたよう)。
水量によると思うが突っ込んでも特に危険もないので、トライして良いと思った(多分普通に突破できる)。こういう突破の仕方をしたのは全体でここだけだった。正直全体を通して想像よりも大変なところが無かったと感じた。

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ゴルジュを抜けるとあとは普通にちょっとへつって歩いてみたいな感じ。
少し進むとちょっと高くなっている河原から焚火の煙が見えてきた。

負傷者(遭難者)との遭遇

ゴルジュの中にいるときからなんとなく焚火の匂いはしていたが、朝から焚火なんて優雅だなあ~!きっと釣りの人なんだろう、なんて気楽に思っていたら、、
事故してビバーク体制に入っている先行PT(2名)だった。

話を聞くと先ほどのゴルジュの右岸巻きの後、懸垂下降中に支点に使った(打った?)ピトンが抜けて4mほど墜落したとのこと。2人組PTで、1名が負傷していた。
両手首骨折とヘルメットが割れる程度の頭部の打撲があったそうで、顔は打って腫れあがっていた。
負傷者は手首を固定していたが、サーマレストをちぎって巻きつけたりしていた。しかし幸い命に別状はないようだった。

両手首骨折のため行動不能で、救助を待つとのことだった。
沢の中は全く電波が入らないし、我々が遡行して電波が入り次第救助要請をするか、入らなければとにかく薬師沢小屋で救助要請するという約束をした。
名前や事故の詳細、要救助者のケガの状態やビバークの装備と食料の残量を聞き、スマホにメモし、また現在地がわかるようにGPSアプリの座標がわかるようにスマホの画面をスクショした。

ゴルジュの右岸巻きで事故して、ビバークしていたのはその対岸の高台だった。この状態でよく対岸に渡ってきたものだと思った。
手首が使えないと自分でザックを背負ったり、岩をつかんだりするのも難しそうだ。
ビバークしている場所は高台で増水などの影響も受けなそうだった。事故は不幸だが、この状況は幸いだと思った。

できる限り早く救助要請してあげたいが、我々もそんなに余裕があるというわけではないのでまずは自分たちが進むことを考えることにした。

上の廊下の河原を歩く

それからしばらくは河原歩きが続き、広河原という場所に出たようだ。とっても広い河原はしばらく続いていて実際自分がトポにあるどの地点にいるのかいまいちわからなかった。
とにかくスマホのGPSには助けられた。

そこを過ぎると両岩壁が切り立ってきて、スケール感が増してきた。
今まで行ったどの沢よりもデカくて深い!これが黒部川の上ノ廊下なんだ、とジーンと感じた。
沢登りなんて言葉はよく使うが、「沢(さわ)」と言う言葉の意味はもっと小さなスケールだろうと思う。
どう考えても「沢」じゃない。だから私は上ノ廊下を遡行することを「沢登り」と呼びたくないなと今は強く思う。これは大きなスケールの谷の底を遡行する、山の旅であり冒険なのだ。

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上の黒ビンガからのゴルジュ地帯。徒渉と泳ぎの連続

広川原を過ぎてから上の黒ビンガへ入る。そこからまた少しずつ川幅は狭くなって、両側が岩壁になるが、徒渉箇所を慎重に見極めながらラインを探って進んでいく。
徒渉が強いでんちゃんの後をついていく。
徒渉に絶対的自身があるそうで、確かに強い。
同じラインを歩くと身長差があるので私の場合はザックが水面について、体が浮かされてしまうこともあった。体が浮くと足が川底につかなくなり、水流に負けて流されそうになってしまう。
そういう時はザックをおんぶする体制で少し持ち上げてやることで、ザックが浮くことを回避できることを学んだ。

流れがどうしても早いところや深いところで躊躇していると「よし、こい!」とどんど構えるでんちゃんに飛びついて、受け止めてもらったりもした。頼もしい。
私は少し悔しいが、流されるもんは流されるのだから仕方がない(ゴーン)。

途中徒渉で合計3回ロープを出した。万が一流された場合、危なそうな場所で慎重にロープを出した。
スクラムは一度もやらなかった。

上の黒ビンガに入ると枝沢がどんどん分かれていく。
この沢の一つ一つがそれぞれの峰から注がれていて、枝沢を超えるごとに水量が減っていくのかななんて思っていた。

次第に広い河原の出てくる頻度が少なくなってゴルジュ地帯へ移っていく。広くて深いプールがでてきて、その先にちょっとした滝が出てきて、みたいなのが繰り返されるようになる。
水線を泳ぐか、岩をへつるか、みたいなのの繰り返しになった。
緊張感のある場所はあるが、想像していたほど難しい箇所はないように感じた。
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分厚いウェットスーツのおかげで長時間水にぬれていても寒さもさほど感じないし、最強だ!って感じだったが、もちろん体温は下がって知らぬ間に消耗する。
ちなみに私が使っていたエア式のライフジャケットはどこぞで穴が開いたようで、空気を入れても少しずつ縮むようになっていた。
でもザックの浮力が大きいのと、泳ぎもそれほどシビアではないので特に気にならなかった。
足がつかなそうな泳ぎの前に空気を入れておけば、ライフジャケットが多少縮みながらでも特に危険は感じなかった。

ちなみにこの日は遡行中何度か雨が降ったり止んだりした。増水するほどの量ではなかったが、雨が降ると水面に水滴が落ちるので、波紋で水流や川底が見づらくなる。
なんとなく雨の音とこの水面の波紋で「増水してきた気がするね」という話を何度かした。
多分それほど水量は変わってないのだけど、なんとなく雨が降ると増水している気がする。

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上の黒ビンガを超えて立岩奇岩手前まではゴルジュの連続だが、段々と疲れが出てきた。
何度も泳いだりそれなりに冷たい水につかっていると、体力を消耗する。
ゴルジュ地帯の最後の窯は泳ぎに疲れていたので巻いてしまった。
ここの巻きは階段状でとても簡単だが、せっかくなので最後突破したい思いもあったが、仕方がない。もっと体力をつけなければ…。

立岩奇岩に到着。上ノ廊下の核心部の突破

そんな感じで14:00ぐらいに立岩奇岩に出た。
トポには立岩奇岩が見えれば一安心、みたいに書いてあったのでとにかくほっとした。
実際、ここ以降は難しいところは殆どなかったと思う。

特に徒渉ではでんちゃんに頼った部分も大きかったが、正直少し拍子抜けした。
もっと大変だと思っていたので、想像よりただただ楽しい行程だった。

水量に大きく難易度が左右される上ノ廊下遡行だが、平の小屋のおっちゃんが脅すほど水量も多くなかったのではないだろうか。
自分たちは初めて来たので平水を知らないが、少なくとも水量が多いってことはなかったと思う。

入渓前の予報では明日、台風が来る可能性がある。台風が来なくても前線状ができて雨が続くかもしれない。
なので、今日はここまでは突破したいなと話していたのだ。とにかく目標は果たせた。

さっきまで「まだまだ元気です!」と言っていたパートナーも立岩奇岩を見て気が抜けたようで疲労の色を見せていた。
もうこのあたりで幕営してしまってもいいかなとも思った。
「もうこの辺で張ろうぜ~」みたいな会話は本当に何度もしたけど何とか少しずつ進んでいった。

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↑クライミングのルート開拓できそうな、立岩奇岩。

まだ昼過ぎなので、天候のことを考えてできる限り進んでおきたいという気持ちと、あと救助要請の件も気になっていた。
電波はまだ入らないので薬師沢小屋まで行きたくはあるが焦っても仕方がない。

そこから2時間ほど進んだ河原で幕営した。
段々河原が狭くなって、幕営適地が減ってきて二人して焦って、結局変なところで幕営してしまったがそれなりに快適だった。
ちなみに結果論だが次の日は台風は来なかった。

この日は少し竿を出したが全然釣れず、おまけに糸が絡まって私の釣りライフは終焉を迎えた…(涙)
(予備の糸は忘れた。毛針はたくさんあったが…)

昼に少し雨が降っていたが、乾燥した牧を集めることができて焚火をした。
でんちゃんのアプローチシューズが水没してそれを焚火で乾かしていたらファイヤーしてしまった。
私のせいでもあった…ごめんなさい。
この日もお米はおいしく炊けた。でんちゃんは炊飯の腕を上げていた。

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なんだかとても長く川を旅をしてきた気がしたけど、まだこの山行が始まって2日目だってことを思い出し、不思議な気分になった。なんだか長くこの川を歩いてきた気がしていたからだ。
この日も沢の音を聞きながらゆっくり寝ることができた。

3日目 薬師沢小屋~奥ノ廊下~祖父沢~雲ノ平(幕営)

もう核心は抜けているので、とにかくこの後の行動をどうするかだ。
入山前の予報では台風の影響で天気が悪くなる予報がこの日だったが、朝から天気は悪くなかった。

この日はまずは薬師沢小屋で救助要請をして、そこで天気予報も確認したい。
天気が持つようだったら予定通り沢の遡行をさらに進めて祖父沢も遡行し、稜線へ進むがそうでなかったら早めに一般道に入ってエスケープも考えたい。

6:00ごろに出発。河原を少し歩くと、左側に突然金属製の梯子が見えてきて、一般登山道と合流したことがわかった。河原の岩はゴロゴロになってきたが、一般道を歩かずに適当に沢を遡行していった。
途中一人で登山道を歩くおじさんに出会った。おじさんは高天原温泉を目指すらしい。おじさんは天気予報を教えてくれた。
台風は消えて(?)今日と明日の午前中は晴れそうとのことだった。
おじさんは私たちの服装を見て沢を歩いてきたのか?と聞いた。上ノ廊下のことを知っているようだった。私は沢登りをするまで、全然知らなかったなと思った。

おじさんと別れてしばらくすると正面につり橋と小屋が見えてきた。

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薬師沢小屋に到着

幕営地からは1時間半ほどで薬師沢小屋についたが相変わらず電波は圏外だった。

ようやく救助要請できる。受け付けの女性に詳細を伝えることができた。
我々から伝えられる情報はできるだけ具体的に、詳細に伝えた。GPSの座標も伝えた(役に立っていたら良いが)。
すると、薬師沢小屋から無線で太郎平小屋に連絡を取って、そちらから救助要請されるようだった。
太郎平小屋は大きな小屋で、山岳警備隊も常駐しているような小屋のようだ(良くはわからないけど)。

しばらくして、我々はそのまま行動して良いと言われたので、予報を確認して行けそうだったので、計画通り祖父沢まで遡行して雲ノ平を目指すことにした。

ちなみにこの際に対応してくれた女性は「やまとけいこ」さんと言う本などを出されている著名な方らしい。パートナーがよく知っていた。
落ち着きのある素敵な女性だった。その女性を見ているとなんとなく私もいつか山小屋で働いてみたいとふと思ったりした。

そこから、薬師沢小屋の脇のつり橋から再び沢に降りた。
このあたりからなんだか沢の様相がそれまでとどんどん変わっていった。

なんだかでっかい岩がたくさんあって、美しい水と緑の森の景色、スケールの大きな沢の景色がしばらく続いた。
このあたりからは「奥ノ廊下」と呼ばれるようだ。

しばらく進むと北アルプス屈指の人気沢「赤木沢」との出会いがある。

奥ノ廊下から赤木沢出会い、雲ノ平を目指す

赤木沢は私は言ったことがないが、なんだかその出会い周辺に「岩魚の回遊するプールがある」ということを聞かされていて、実は私はそれを見るのを楽しみにしていたのだ!

しかしどうやら水量が多いこの時期ではその様子は見られないらしい。
非常に残念であったが…また釣りに来たいなと思う。

そして、赤木沢出会いの景色はまるで楽園のように美しい景色だった。
言葉にできないくらい。その先の行程がなければここでゆっくりずっと景色を見てみたいと思うくらい。
きっと赤木沢も美しいんだろうな~と思いながらその入り口を眺めた。

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↑ウェットスーツのせいで沢登と言うよりダイビングのコーチみたいな出で立ち

惜しみながらその景色を後にして、今度は雲ノ平に向かって進んでいく。
そこから祖父沢に詰めるというのが計画ではあったが、地図を見ていて「黒部源流」という言葉にも少し惹かれていた。
パートナーもそれを見つけたらしく、こっちも気になるね…と話していた。

でも私は実は雲ノ平に行ったことがなかったので雲ノ平にも行ってみたかった。

それに「黒部ダムから黒部川・上ノ廊下を遡行して雲ノ平につなげる」という地図上のラインがとても美しく見えて、そこを歩いて繋げたいなと夢見ていたのだ。

というわけで、予定通り雲ノ平を目指すことにした。
ちなみにこの日は行動中はとてもよく晴れていて、暑いくらいだった。
上ノ廊下は沢底を歩くので標高はさほど稼いでこなかったが、この日はそれなりに標高を上げる。

奥ノ廊下を過ぎてからどんどん遡行していくと正面に山の稜線が見えてきた。
いくつか枝沢を超えてから左手の沢に入る。そこが祖父沢だ。この沢を詰めていけば最後は雲ノ平に出るのだ!

「沢を詰めて気が付いたら草原に出ている」というのを味わってみたかった私はワクワクしていた。
それはまさにファンタジーじゃないか!

最後には祖父沢にはいり、雲ノ平に詰めあがる!

祖父沢に入ってから急に岩がゴロゴロしてきた。ちょっと崩落が怖い場所もあって雨が降っているときに入りたくない沢だなと感じた。

ゴロゴロ岩とその段差を落ちる水滝をどんどん乗り越えて標高を上げていく。手と足を使ってゴロゴロの岩をグングン登って行った。
流れる透明な水はとても冷たいが、太陽は灼熱。ゴロゴロ岩の途中にところどころ現れるオアシスのように水々しい水辺にはなんと魚影が見えるのだ。こんな上流に…魚がいる!
が、このゴロゴロ岩場の標高上げで私は結構ばてていた。
この日の行動自体はそれほど大変ではなかったが、前日の行動の疲れが抜けていないようだった。これが年か運動不足か?悲しい…。

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それでも祖父沢に入ってからは見る見る変化していく景観に圧倒されていた。
水量が徐々に少なくなり、沢の終わりを感じ始める。周りに生えていた木々はハイマツになり背丈が低くなり空が近づいてくるように感じた。

沢はどんどん細くなり、最後にいくつかの枝沢となり、枯れ沢になった。
遂に黒部川の源流の一筋を目の当たりにしたのだ。
2022-08-13_14-59-25_662沢が枯れる前の最後の場所で沢装備を全て脱ぎ、沢の人から登山の人にジョブチェンジした。
濡れて嵩張る沢装備を詰め込んだガッシャブルム(ザック)はまた大きく太った姿になってしまった。
これを担ぎたくないと思った。

枯れた沢の中でスッポンポンになって着替えていたが、祖父岳の一般登山道の稜線が良く見えていた。もしかしたら誰かに見られていたかもしれない。

雲ノ平のテント場に到着

沢シューズからアプローチシューズになって、枯れた沢の中を少し登るとすぐに雲ノ平のテント場にひょっこり出た。
脱渓の藪漕ぎも労力もなくあっという間だった。

それから色々あって無事雲ノ平のテント場に幕営することができた。雲ノ平山荘のメガネのお姉さんもとても良い人だった。
感謝である。ここで買ったレモン味のピュレグミの味が忘れられない。

雲ノ平は電波が入らな方が阿曽原側に少し登ると電波が入るとでんちゃんが言うので少し登ってみたが、予報が確認できるほどは電波が強くなかった。もう少し進めばよいのかもしれないが、雨も強くなってきたので引き返した。
テントを張ってからすぐに雨が降ってきて、夜は雨が降ったようだった。

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4日目 雲ノ平~祖父岳~水晶岳~赤牛岳~奥黒部ヒュッテ~幕営地

4:00くらいから行動開始した。この日は午前中は天気が良い予報なので、天気が悪化する前に気持ちよく稜線を歩きたいと話していた。
雲ノ平から祖父岳~水晶岳~赤牛岳~読売新道を歩いて奥黒部ヒュッテへ降りて、船着き場まで歩いた。

地図上で見るととんでもなく長い距離だし、おまけに荷物が重いので身構えていたが、とても気持ちの良い稜線歩きができた。
ゆったりと稜線を歩くのは久々で、本当に気持ちが良かった。
最近の夏は岩場でのクライミングや沢登りばかりが多く、ゆっくり稜線を歩くのは久々で歩く気持ちよさと山に抱かれている感覚を五感で噛みしめながら稜線を旅することができた。

朝は風が強く気温もずっと低かったので、カッパと保温ジャケットを着て行動した。
祖父岳あたりで日が昇ってきた。

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水晶岳

てくてくと縦走路を歩いて水晶小屋に。水晶小屋は電波がバリバリ入った。今回の山行で初めての電波バリバリだった。

水晶岳を超えたあたり(9:00くらい?)で、朝奥黒部ヒュッテから読売新道を登ってきた人たちと出会った。
彼らはすごくぐったりしていたが、どうやら朝の0:00や1:00ごろに奥黒部ヒュッテから歩いてきて、やっとここまで来たとのことだった。
ドMだなあ…と思った。
みんなすごく疲れていたけどとても良い顔をしていて、みんな好きだなあ~と思った。山っていいなって思った。

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水晶岳から赤牛岳はすごく遠いぞ、と仲間に脅されていたが、確かに長かった。アップダウンも多かったがずっと楽しかった。急登とかはなく穏やかな縦走路で体はバテていたけど、心は大はしゃぎだった。
赤牛岳に近づくと真っ白にガスが出てしまったが、それもまた心地よかった。

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赤牛岳で友人との再会!~読売新道~奥黒部ヒュッテ

あと少しで赤牛岳というあたりで、向かいから霧の中を一人の女性が歩いてきた。
それがなんと関西時代の友達だった!
なんと一人で関西から車を運転してきて、今朝奥黒部ヒュッテから歩きだしたそうだ。なんてこった!

とてもうれしい再開だった。色々な山に一緒に行った仲間で相変わらずの健脚のようだ。
この日は水晶小屋に泊まると話していた。

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赤牛を超えてから少し標高を落とすとまたガスが晴れてきて、いよいよ黒部ダムが見えてきた。

2022-08-14_10-52-43_478なんだか遠いようだけど近いようにも見えた。
あそこから川の底を歩いてここまでやってきたのかーと言うのと、あそこまで帰るのかーと同時に思った。

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赤牛岳を超えてから読売新道に入った。
なんだか最初から最後まで歩きにくい道だった。残りどのくらいかをあらわす標識(「1/8」)みたいなのがあったが、なんだかどこもしんどかった。
笠ヶ岳の笠新道と鹿島槍の赤岩尾根の悪いところを足したような歩きにくさだった。正直もう歩きたくないと思った。

奥黒部ヒュッテにつくと、3日前に登山届を提出した時に対応してくれたおっちゃんがいた。
我々が救助要請した遭難者が気になっていたので確認すると無事だったようだった。本当にほっとした瞬間でもあった。

おっちゃんはオレンジジュースをごちそうしてくれた。それから色々お話しして、楽しいひと時を過ごした。
おっちゃんは私の関西の友人のことを気にしていて、朝5時ごろに奥黒部ヒュッテを出発していたらしく(ほかの登山者よりは遅い時間の出発だったので気にしていた)、
5時間ほどで赤牛岳に来ていたとのことだった。やはり健脚である。

そのまま船着き場付近まで行って幕営した。

5日目 船着き場~黒部ダム~下山

この日は朝から強い雨だった。朝一の6:00に渡し船で平の小屋へ渡り、ゆっくり歩いて10時ごろには扇沢のバスに乗り下山した。

一日中強い雨で森の中でもカッパが必要だったが、最終日で良かった。予報は微妙だったが天候に助けられた山行でもあった。

まとめ

今回は憧れていたルートに行くことができてとても充実の山行となりました。

北アルプスの山々の間を多くの高峰からの沢と出合いながら水を集める、膨大な水量の長大な黒部川を旅することができて本当に嬉しかったです。

国内でこれほどのロケーションと風景を見られるのはこのエリアだけなのではないでしょうか。
記録もそれほど読み込まずに行ったので色々わからないことも多かったですが、だからこそ面白い冒険ともなりました。

圧倒的なスケールに言葉通り圧倒されながら、とても楽しい登山となりました。
この記録はYoutubeにも投稿していますので、映像を見てみたい人はぜひご覧ください。

冬にはこの場所がどうなっているのか見に来てみたいなと思いました。冬には降水はすべて雪になるこのエリア、川は枯れて巨大な雪の谷になるのだろうか。それともすっかり埋まって平になるのだろうか。雪崩地形の地獄になるのだろうか。想像はいくらでもできますが、どうなっているのか見てみたいなと思いました。気になる場所には全部行ってみたい。時間さえあれば。

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