【登山】西穂高~ジャンダルム~奥穂高へ縦走!単独女テント泊【北アルプス】

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こんにちは。2017年の9月に、西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳へ単独テント泊縦走しました。
私の浅い山歴の中でも、間違いなく今までで一番楽しいルートとなりました。
帰りのルートで前穂高岳も登り、穂高の3座で楽しく、絶景を眺めながらの岩稜縦走となりました。
今回はその時のレポートになります。写真がかなり多いです。
(奥穂高~前穂高は別の記事にしています)

このルートは登山をやって北アルプスを歩いたことのある人ならば、
行ってみたいと思う人も多いと思います。

今回は私の歩いた内容や難易度に関して、体験談として、紹介しながらお伝えできればと思います。

ただ、あくまで私の主観が入っているので、参考程度にしてください。
そして、判断は自己責任で行ってください。この記事の内容で判断されて危険な目にあわれたり、命を落とされても私は一切責任は負えません。

そのうえで参考にしていただければと思いますし、もし気になる点や不明点があれば
Twitterや連絡フォームから声をかけてくださっても大丈夫です。

西穂~ジャンダルム~奥穂を歩いてきました!

このルートを行くにあたって、色々なサイトを調べたり質問サイトを読みました。
様々な葛藤をして、本当に行くかどうか、行けるかどうか悩みました。
ロープが必要かどうか?
実際の行動時間はどのくらいか?
荷物は?危険個所は
・・など。

一応このルートを行くために、立山剱岳や近場の岩山でトレーニングしていて、難を感じたことはなかったので
「もし危険だと感じたら技量不足、すぐに引き返す」
という念を自分に押していくことにしました。

結論としては、私のレベルでも余裕をもって歩くことができました。

全体を通して、私が感じた点や危険個所・注意点は次の通りです。

  1. 危険個所には鎖があるので慎重に行けば問題はない
  2. 核心はジャンダルムを超えてから、
    ロバの耳を超えて飛騨側へ垂直の岩場の長いクライムダウン
  3. ルート間違いに注意。ペンキをしっかり見ること。
    ペンキが消えているところがあるが、切れ落ちていればルートを外れているので引き返してルートを探す
  4. 間ノ岳は浮き石の塊、落石に注意して静かに歩く
  5. 天候に注意、稜線での強風による行動不能や岩場の濡れに注意
  6. 渋滞に注意(想定コースタイムオーバー)
  7. 岩場の難易度としては剱岳のほうが難しい(垂直の登り下りが多い)

馬の背なんかはよく写真に出てきますが、傾斜は緩くがっつりつかめる安定した岩が
そこら中にあるので、高所恐怖症とかでなければ難なくクリアできます。

切れ落ちているので高度感はありますが、ここで滑落することはまずないと思います。
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記事の後半に私の感じた危険個所に関して詳しく書いているので、そちらもどうぞ。

参考までに、私の登山レベルについて記載しておきます。
筆者(赤いライダーまっつん)の登山レベル

    • ・登山歴1年。毎週山に入っています(当時)
    • ・アラサー
    • ・ザック20kgまで担いで12時間程度行動可能
    • ・歩行スピードはコースタイムの0.7~0.8程度
    ・岩場が好き

西穂高~ジャンダルム~奥穂高のルート行程

全体としての2泊3日テント泊ですが、今回の記事では上高地~西穂高~ジャンダルム~奥穂高をまとめています。

    • 1日目 上高地~西穂山荘 行動2時間 (15:00登り始め)
    • 2日目 西穂山荘~ジャンダルム~奥穂~穂高岳山荘 行動7.5時間 (3:40登り始め)
    • 3日目 穂高岳山荘~前穂高~上高地 行動6時間(4:30登り始め)※別記事
    天候は三日とも晴れのち霧

所要により1日目は12時に松本駅から上高地に入り、15:00からの入山となりました。金曜日の午後入山の土日の山行です。
写真や文章が多いので、三日目の前穂高は別記事にしました。

装備

一般的な登山の道具+ヘルメット。
テント泊の荷物を絞り45L+外付けマット。重さは16 kg
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荷物軽量化のためトレッキングポールなど、不要なものを省きました。
代わりに2キロもする重たいカメラをもっていったので意味ないですね。

もっと小さくできるほうがいいと思います。上の写真ではコップとか外付けしてますが、そういうのはしないほうが良いかもしれません。

上高地~西穂高~ジャンダルム~奥穂高、山行レポート

1日目:上高地から西穂山荘へ

1日目は午前に松本市で所用があり、午後からの上高地入りでした。金曜日です。
12時に松本市から上高地線で新島々を目指し、登り始めは15:00。

上高地から西穂山荘までコースタイムが4時間ちょっとだったので、日が暮れることを前提でヘッデンを用意して登り始めましたが、結果的に2時間ほどで到着しました。他の人も言っていましたがここのコースタイムはかなり甘めのようです。

ルート上は木道などで整備されていて、ハイキングルート
危険個所はありませんが、さすがにこの時間から登り始める人はいないので、人がおらず野生動物が気になりました。

この週末は天気予報が良かったので、平日でしたが西穂山荘のテント場は結構埋まっていました。
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ちなみに小屋についたタイミングではガスでした。明日張れるのかなあなんて考えながら。
翌日にジャンダルムを超えて奥穂高を目指す人はかなり多くて、
他のテントの人とお話ししながら、次の日の山歩きにワクワクとしながら就寝しました。
この日の夕食はハヤシメシだった気がします。私の定番。

ジャンダルムに行くなら西穂山荘泊がおすすめ

前日の夜にテント場、小屋共に
翌日の西穂~奥穂ルートの詳細な最新気象情報を教えてもらえます。
ここで情報収集するのが良いでしょう。

私が行ったときは天候が良いので渋滞にも注意との情報もありました。

2日目:西穂高岳~奥穂高岳へ

2日目。いよいよ西穂高岳峰を超えてジャンダルム、そして奥穂高岳を目指します。

朝は3:40に出発しました。日の出より早い時間でヘッデンを付けて歩きます。
独標くらいから空が白み始めました。
この時間に出発した理由は次の通りです。

①渋滞を避けたかった
②奥穂山荘でテント場を確保したかった
③時間に余裕をもってゆっくり歩きたかった

結果的にこの時間に出て、ベストでした。
昼前に穂高岳山荘に到着したので、テント場も確保でき、ツアーや岩場が不慣れな人が引き起こす渋滞にも引っかかりませんでした。
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先行者が一人います。奥穂高につく近くまでほぼ同じくらいのペースでした。

後から出発した人に話を聞くとやはり相当渋滞していたそうです。
天気が良いので、このルートをアタックする人が多かったこともあるでしょう。
テントを撤収する必要があったので実際には2:30に起床しました。

このルートを楽しむなら、余裕を持つためにも、遅くとも5時には出発したほうが良いでしょう。
岩稜地帯が続くエリアなので、午後の天候の崩れや雷の危険性も考慮して、早立ちが望ましいのではないかと思います。また、時間の余裕は心の余裕にもなると私は考えています。

西穂山荘~西穂主峰まで

早朝の涼しさの中、軽快に歩き始めました。
本当に奥穂高までたどり着けるのだろうか、なんて思いながら歩いていましたが
美しい朝の世界を目の当たりにしてそんな不安は吹き飛びました。

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素晴らしく迫力のある、美しい稜線のシルエット。
独標あたりから撮った写真だと思います。
雲海が広がっています。この雲海の感じだと昼を過ぎるとガスりそうだなあと思っていましたが案の定昼過ぎはガスが登ってきて霧の世界になっていたのを覚えています。

山の向こう側から雲が色づき始める様子を横目に歩みを進めます。
そうこうしているうちにピラミッドピーク、チャンピオンピークを越えます。

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独標を超えてからも特に難所もなく、楽しく朝の歩きを楽しみます。

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おそらくすでに日の出はしていて、ただ大きな穂高連峰の向こう側にある太陽は
まだこちら側に日の光を届けられないといった感じでした。

ちなみに、ルートの途中には12のピークの数がペンキでカウントダウンされていて、
「これが奥穂までのピークの数かな?」なんて思っていたのですが、西穂ピークまでの
ピークの数でした。甘い甘い!
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太陽を見たのは、西穂主峰につく頃でした。
日の光を浴びて輝く稜線を見て、みんな感嘆の声を上げていました。
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ちなみに私はというと、なぜか足がツリ気味だったので、ここで補給することに。
まだ歩き始めて2時間もたっていないのに大丈夫かなとちょっと不安になりました。

ただ私は普段からしょっちゅう足がつるので(部屋で正座しているだけでつる・・)
あまり気にしてはいませんでした。

足がつったら飲もうと思って持ってきたポカリスエットの粉末で濃い目のジュースを作って飲みながら、ゆっくりと休憩しました。焦る必要はないのです。
こんなに美しい山の景色を、待ちに待ったこのルートを、焦って歩くなど勿体ない!
そのために早起きしたのですから。

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暗闇でわからなかった、歩いてきた道を振り返ってみながら、日が動き変化する景色を楽しみました。
太陽が世界に色をもたらす瞬間を目の当たりにしました。
こんな素晴らしい夜明けがかつてあっただろうか!
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上高地に日が差すまではまだ時間がかかりそうです。
西穂高のピークでみんな一息ついていました。

ちなみに、後で渋滞に捕まっ多人の話では、とあるおばさんが西穂主峰に来るまでの岩場で怖くなって動けなくなっていて、おまけに道を譲らないものだからかなり待たされたといっていました。ガイドツアーらしく、結局全員引き返したとかなんだとか。

もし、西穂主峰までですら怖いと感じたなら無理をせずに引き返すべきです。それは自分だけでなく、周りの登山者にも危険を及ぼすからです。私もそうですが自分を過信せずに慎重に判断しましょう。

ここから、さらに美しい岩稜縦走路の始まりです。
振り返ると美しい西穂の主峰、そして3000m越えの山々が輝いています。
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奥に見えてるのが乗鞍で手前の丸っこいのが焼岳です。
右に見えているのは、笠ヶ岳でしょうか。

西穂主峰~間ノ岳~天狗岩

いよいよ西穂主峰を後にして、ジャンダルムを目指します。
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一番奥に見えてるラスボスっぽいのが奥穂高でしょうか。
なんだか意外と近い気もします。

ここからは名のあるピーク以外にもいくつものピークを越えたりトラバースしたり。
普通の岩の道と岩登りチックなルート交互な感じです。とにかく岩々しい。
意外と広い場所があって、すれ違いや休憩はとれます。

間ノ岳

西穂主峰から進んでいって間ノ岳の取り付気あたりから突然足場が浮石だらけになります。
大袈裟ですが足場がすべて浮石になったように感じました。
このルート全体で私が緊張した二番目の箇所です。
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進む方向はペンキで矢印が書いてあるのでわかりやすいです。
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固定されないガレキはガラガラと音を立てて崩れ落ちていきます。
手をついて四足歩行になりながら、慎重に歩きますが浮石なので安定しません。
傾斜は緩やかなので滑落するようなことはありませんが、下を歩いている人は私が歩く様子を慎重に眺めていました。
落石が自分のほうに落ちてくる可能性があるからです。
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間ノ岳の横あたりから登りきるとガレキ地獄とはおさらばです。白いヘルメットの人が歩いているあたりから登りきると、上の写真の向かって右手の岩にペンキで「間ノ岳」と書かれていました。

やっとガレキが終わった・・とほっとした瞬間でした。
風が吹ていたら多分難易度はぐっと上がると思います。

さてさてお次は・・

逆走スラブ~天狗岩

ここから天狗岩まではまたまたアップダウンです。
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危険個所には鎖があるので、ペンキに書かれたルートを追いかければ良いです。
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逆走スラブが見えてきました。
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近づくとこんな感じです。
スラブというにはちょっと違うような気もしますが、確かに滑りやすそうな感じです。
姿勢を低くして靴のグリップを信じて登ります。傾斜は緩やかなので、乾いてさえいれば登るのは簡単だと思います。
雨や霧で濡れていたら嫌な感じだと思いました。

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垂直なところは鎖があります。こんな感じ。鎖の存在がこのルートをより安全なものにしてくれています。ありがたいですね。
中には鎖は一切使わん!って人もいましたが、私はとりあえずお世話になりました。

またまた岩々ごつごつの稜線が見えてきました。
あれが・・・天狗の頭かな?
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一気に天狗岩まで。そのまま天狗のコルへ下ります。
天狗のコルからは岳沢ヒュッテへのエスケープルートがありますが、ザレとガレキの急登のようで登るのも下るのも大変そうでした。ここでエスケープするというのは緊急時以外あまりお勧めできないかもしれません。
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超えてきた稜線はあまりにも雄々しくカッコいい姿をしていて、思わず見とれてしまいます。
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私は山の形としては剱岳が一番好きなのですが、稜線の感じはこちらも負けていません。

このあたりでジャンダルムはまだかー!っと私は心で叫んでいました。笑
時刻は7:30ごろでした。

ここを過ぎると奥穂山荘から逆ルートで来てる人とちらほら会いました。

そしてなんだか頭から血を流して胴体にロープをつながれて引っ張られているるおじさんを見かけました・・。
何があったのかわからなかったですが、怖かったです。

ジャンダルムへ

ここらあたりから、さらに岩々の登り下りが激しさを増してきます。
もう少しでジャンダルムが見えるはずなんですが、目の前にピークが次々と現れてなかなか姿を確認することができません。

登って
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登って
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ここも登るの~!?
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写真が登るほうばっかりなだけで、もちろん下りも同じくらいあります。
そしてこんな感じの登りを超えると・・・
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ついにジャンダルムが見えた!って、あれがジャンダルム?
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西穂側から見るとまるでお餅のようなその姿。私はモチダルムと名付けました。
奥穂側から見たら到底登れそうにない姿をしていましたが、これなら大丈夫そうです。モチダルム(ジャンダルム)の左奥には槍ヶ岳がきれいに見えています。
私のザックについてるテントマットが横に歪んでいるのが気になりますね。

ちなみにジャンダルムへは左側の傾斜が緩やかなほうから巻いて登っていきました。青い服の人が登っているあたりですね。

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取り付きは左から。鎖のついている場所は奥へジャンを巻いて行く道です。
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ついに天使のお目見えです。

ジャンダルムからの景色は、奥穂がドーンとあって左奥に槍ヶ岳、右に前穂高・・と壮観ド迫力山だらけ!
幸せの絶頂の瞬間ですね。
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写真はパノラマサイズなのでパソコンで閲覧されている方は、クリックしてFlickrに飛んでみてください!
ありがとうジャンダルム。

さて、しかしながら一番難しかったのはジャンダルムを超えてから・・だったのです。

ジャンダルム~奥穂高まで

ジャンダルムを超えて少し歩いて振り向くと、見慣れたジャンダルムの姿がありました。
これはモチダルムではない、ジャンダルムだ。
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ちなみにこちら側からも登ることは可能らしいです。降りるのは難しいようですが。

ここから一度一気に標高を落としていきます。
ロバの耳をトラバースして馬の背に取りつく前の底(暗部)まで一気に降りていきます。
今回の縦走で一番緊張した場所です。
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垂直に降りてきました。
後ろを向いて慎重にクライムダウンしましたが、正直かなり怖かったです。
方向を変えるときにザックが岩にあたり、体が押し出され、
「おっ、怖い!」となった瞬間もありました。
もし、失敗したら何十メートル、下手したら何百メートルも落ちてミンチになるのでは・・
と考えると恐怖が頭をよぎり体がこわばります。
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トラバースする人が見えます。
危険個所ですがロバの耳から飛騨側への下りには鎖はありません。
垂直に降りる所では落石にも注意です。

私の写真は安全なところでしか撮影できていないので、一番怖いところはもっと怖い感じです。

馬の背

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そんな下りをを終えると、いよいよ馬の背を従えて奥穂高がそびえたっています。
先に馬の背のピークに差し掛かっている人がいます。いよいよラストスパートです。

待ってろよ奥穂高のピーク!
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馬の背の取り付きは垂直に近い登りですが、クラックをしっかりつかめるので不安定さはありません。梯子を上るような感覚でしっかりと足を置いて手を出して、登っていけば大丈夫です。
疲れたら馬の背に馬乗りになって座ってしまえば安全に一息付けます。
先のロバの耳の急降下と比べたら楽なものです。

しかし、写真の迫力はありますね。
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奥穂高ピークへ

馬の背を超えればあとは簡単ですが、気を抜かずに奥穂高ピークを目指します。
地味ですが最後の登りが待っています。
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右側にはすっかり日を浴びた美しい上高地が。河童橋からこちらを見ている人はどれだけいるんだろうか。
河童橋から雲のかからない穂高を見れることはあまりないので、きっとみんな美しい景色に満足していることでしょう。
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振り返れば歩いてきた道と素晴らしい形のジャンダルム。
そしてついに・・
奥穂高の山頂だ!
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11:00ちょっと前、ついに歩き切りました!
最高に楽しい時間でした。

感慨に浸りながら、人で賑わう奥穂高で一息ついて、穂高岳山荘にテントを張りに降ります。
道中、歩いているおじさんと話しながら西穂高から来たんですよ、なんて言ったら感心されたりしてちょっとうれしかったのを覚えています。
一人で歩くのは楽しいですが、誰とも感動を分かち合えないのが少しさみしいですね。

奥穂岳山荘へ

さて、今日のルートは終えたので、奥穂山荘まで下ってテントを張ります。
最後の奥穂からのくだりが何気に危ないので気を抜かずに最後まで歩きます。
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この写真だけ見せられたら「槍ヶ岳?」と思ってしまいそうな、意外ととんがった形ですね。
新穂高や涸沢から上がってきた人で大賑わいでしたが、昼前だったのでテント場は何とか確保。奥から二番目のテントが私のものです。

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一日の素晴らしい旅路を終えて、絶景テント場でラーメンを食べました。涸沢カールを見下ろしながら足をプラプラしながらコーヒーを飲んだりゴロゴロしたり。
西穂高で一緒だった人と再会したり、その人が道中仲良しになった、ガイドのおじさんとお話ししたり、とても楽しい時間を過ごしました。
最高に贅沢な時間となりました。

「西穂~ジャンダルム~奥穂」ってどんなルート?まとめ

さて、いかがだったでしょうか。写真だらけで重たい記事になってしまいいましたが、こんな感じでした。

ここからは文章中心で、このルートを振り返ってみたいと思います。

このルートは日本の一般登山道(?)の中ではかなり危険と言う人もいる、難易度が高めのルートです。

西穂~ジャンダルム~奥穂高のルートに関して私が疑問に思っていたこと、実際に行ってみてわかったことについてお話ししてみます。
行ってみたいけど、不安だなあ・・どんなところか情報が欲しいなあ・・って人の参考になればと思います。

レポートに記載した内容と重複するところもあるので、読み飛ばしながらどうぞ。

どんな技術が必要?

このルートにおいては、岩場ルートが長時間続くのでそれに耐えられる体力、集中力が重要になってくると思います。
クライミング要素は殆どありません。そういった危険個所には親切にがあります。
「どう登ればいいかわからない」なんて場所もほとんどありません。
基本的にはしっかり探せばガッチリ手足をかけられる場所があります。

一番重要なのは落ち着いて歩くこと、岩場を超える個所では次に足や手をどう動かすかルートの先を見て決めてから行動すること。
このレベルの岩場をロープなしで行けないような人はそもそも来るべきではないと私は思います。
偉そうになにを!と思われるかもしれませんが、そんな風に無理をしても危険ですしきっと楽しくないですし、周りの登山者の命も危険にさらす可能性があるからです。

指標としては剱岳の剣山壮~剱岳ピストンをコースタイム通り、難なく歩けるかどうか。
他人に頼らず、自分で足場を見つけて歩けるかどうか。
そちらを楽しめるならこちらも十分楽しめると思います。

どんなふうに難しい?西穂~奥穂ルートの難しさについて

このルートの難しい部分に関して箇条書きにしてみました。

①ルートのほとんどが岩場で、少しのミスが転落・滑落に直結
②左右の切り落ちた岩稜地帯がたくさんある
③転落すれば即死又は重症につながる高所の連続
④落石が日常的に起こる痩せ尾根と浮石の多さ
⑤コースタイムで行動時間10時間近く、長い時間集中できる体力が必要
⑥ルートが不明瞭な個所があり、誤ったルートで進めばその先は崖

このように技能、体力、判断力が必要とされる難易度の高いルートです。

一歩間違えれば命を落とす可能性のある場所はそこら中にあるということです。
これは、どの山でもいえることですが、そんな危険個所がコース全体の7割くらいを占めているでしょうか。

ルートがわかりにくいところがある?

ルート全体を通して、ペンキで「〇」と書いてあって分かりやすくなっているのですが、
石が崩れたのか消えてしまったのか、たまに目印がないところがあります。

そういったとき、誤った方向に進んでしまうと崖に繋がっていて、
踏み外すとあの世行き、のような箇所がいくつかありました。

晴れていて見通しが良かったり、慎重に道を探していれば間違えることはありませんが、ガスが出ていて見通しが悪かったり、焦ってよく確認せずに進むと危ないと思います。

ルートを探すときは慎重にしたほうが良いです。

ロープ確保は必要ですか?

私がこのルートに行く前に一番気になっていたのはこの話でした。
このあたりの判断も自己責任で、私の話はあくまで参考程度にしてください。

私が、実際に行って個人的に感じた中では、ロープ確保は必須ではないと感じました。

ホールド出来そうな岩は慎重に探せば基本的にあります。
三点指示、三点確保をしっかり意識して、慎重に進めば問題なかったです。

垂直に登り下りする場所はいくつかありますが、危険個所には基本的に鎖が設置されています。
鎖はしっかりと固定されていました。
懸垂下降が必要な個所も正規ルート上にはありません。

ヒヤッとするシーンはあった!

ただし、ヒヤッとするシーンは何度かありました。
ジャンダルム、ロバの耳を超えてからのクライムダウン個所では
ザックが岩に当たり体が前に押し出され、ヒヤッとしたことがありました。
テント泊でザックが大きめだったこともあります。
垂直の岩を下っていく場面などで足元が見えず、次の足場が見つからなかったときなどです。

例えばこういった場面で、焦ってしまったり、
変に動いてどうしようもなくなる、なんてことはあり得ると思います。

もし、足場が見つからなかったら一度登り返して安全なところで一呼吸置くといいでしょう。
必ず手も足もかける場所が見つかるはずです。先行者の動きを見るのもいいと思います。

こんな人はトレーニングしてからがいい

油断したらすぐ、滑落みたいな箇所は先にも述べた通りたくさんあります。持論ですが山を楽しく安全に楽しむためにも無理はしないのが一番だと考えています。
もし、ハードな岩場での滑落を恐れているようであれば、
ロープ確保が必要かどうか気にするよりも、そもそも行かないほうが良いと思います。

過信は行けませんが、経験・技術的そして、気構えとして、
「岩場は得意だし、楽しいし、これまである程度登ってきたので、チャレンジしてみたい」
みたいな人は、大丈夫だと思います。ある程度の程度にもよりますが・・。

逆に良くない考えとしては、岩場にそこまで自信のない人が、
「ロープで確保してもらえば多分死なないから大丈夫・・
ガイドがいれば無理してでもなんとかこのルートを行けるだろうし・・」
のような感じの場合・・・。

自分の力量から正しく、不安なく判断できる人、または師匠のような人に「君なら大丈夫だ!」と太鼓判を押してもらえる場合などでないと、やめたほうがいいでしょう。

ただ、岩場がいくら得意でも、自信があっても、確保があっても事故が起こる可能性は常にあります。自分のできる範囲でどうリスクを管理してゆくか、考えることが大事だと思います。。

体力はどのくらい必要?

荷物の重さにもよりますが、15kg担いで一日10時間くらい歩いて余裕があるくらいの体力があれば十分だと思います。

距離は長くありません。とにかく、岩を登ったり下ったり巻いたりの繰り返しです。
小さなピークをいくつも超えていきます。

例えば、西穂山荘~西穂の主峰までにピークが12峰あります。
そこから、奥穂まではまだその3倍程度の距離があります。
岩場の登り下りで筋力的な疲労とそれに伴う体力疲労があります。

激しい運動になりますが、休憩ができそうな箇所も意外とあります。
早朝に出て、休憩を取りながら進むことで集中力と体力を切らさないように工夫することはできると思います。

私はあまりにも美しい景色に見とれて随所でかなり休憩しました。

テント泊で行く場合

ザックの重量が小屋泊より重くなること、
ザックが大きくなってしまうので岩場では不利になることが難点です。

しかし、個人的な印象としては持久戦というより瞬発力でこなすルートです。
先に書いたように休憩できる個所はあるので、多少荷物が重くても問題ないかなと思います。
とはいえもちろん持久力も必要ですが。

どちらかというとザックが大きくなることが問題です。
最低でも45L+外付けマットくらいまでにパッキングができないのであれば小屋泊にしたほうがいいかもしれません。

難所・危険個所について

レポートを読んでいただけたならわかるかもしれませんが、
もう一度危険個所についておさらいしておきます。

危険個所①間ノ岳周辺

西穂主峰~間ノ岳に関しては、浮石だらけで危険を感じました。
浮石だらけというか、平べったい石を積み重ねて山にしたような、そんなイメージです。
とにかく不安定。

間ノ岳のピークくらいまではそんな地帯になっています。
一歩進むごとに「ガラガラ、ガラガラガラ」と足場の石が崩れてしまいます。
落石も起こしやすい箇所です。

慎重に登っても、そもそも石が浮いているので落とさないこと自体が難しいです。
そして、ガラガラと音が鳴ると自分を含む周りの登山者の間に緊張が走ります。

みんなが音のほうを一斉に向いて、体の動きが止まります。
滑落の危険というより、落石の危険、落石を起こしてしまう危険
がある区間です。

危険個所②ジャンダルム~ロバの耳~馬の背手前の暗部

ジャンダルムのピークを踏んだら、いったん分岐まで引き返し、巻いて先に進みます。
そこから、ロバの耳を超えて馬の背手前の暗部までは一気に岩場を垂直に近い形で下っていきます。

この下りが厳しい。岩場を真下に向かって一気に下っていくルートなのですが、
岩の足場はかなり狭く、私の場合はテント泊のため、ザックが大きく、
結構慎重に降りました。
足を踏み外せば底まで数十メートルの滑落は間違いない場所で、
一つのミスが死につながる感じが一番強い場所でした。

おそらく登れば楽しいのでしょうが、西穂~奥穂だと下りになるので、本当にヒヤヒヤした箇所でした。
また、落石も起きやすいので注意です。

危険個所③奥穂~奥穂高山荘

奥穂に登頂して、あとは山荘に行くだけだ~と、気を抜いていると危険!
最後の最後に小屋が見えてから一気に崖を下っていきます。
梯子なども設置してあり、西穂から歩いてきた道のりを考えるとなんてことはないのですが、縦走を終えてからも気を抜かずに最後まで集中する必要があります。

いかがだったでしょうか

さて、ジャンダルムへ行くのに、必要な情報を
少しでも伝えることができたでしょうか。
参考にしていただければ幸いです。

ただ、あくまで私の感じたことや意見なので「参考」として、
そして最終判断は「自己責任」で行ってください。

この後の行程としては奥穂高~前穂高~上高地ですが、後日別の記事にてアップしようと思います。

この山行では、とにかく天候に恵まれ、最高の絶景の中を旅できました。
何かあればツイッターDM等でもお応えできますのでお気軽にどうぞ。

天然アスレチック極まったり!という感じでした