初冬の早月尾根から剱岳へ歩いてきました(2022年)

1泊2日で恒例の早月尾根に歩きに行ってきました。
タイミングが合えば冬前のこの時期に毎年歩きに行くルートです。

少し前に行った鹿島槍ヶ岳(赤岩尾根)同様、過去一で雪の少ない早月尾根でしたが、1日目の夜に雪が結構降ったので上部はそれなりの雪景色となりました。

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今回のルート(早月尾根~剱岳)

富山の馬場島から早月尾根を使って剱岳へ登るルートです。
この時期は冬の山行に向けて体力トレーニングの意味合いが大きいのでできるだけ標高差が必要かつ、それなりに雪のあるルートとして、訪れることが多い場所です。

1日目:7:00馬場島~早月小屋12:00ごろ
2日目:6:00早月小屋~剱岳9:00~11:00ごろ早月小屋-12:00下降開始~15:00馬場島

ちなみに早月尾根は距離 約16.0km 標高差 約2500m、馬場島の750m~剱岳の2999mまで。この時期であれば標高1000m後半からは厳しいラッセルになることもあり、上部は特に時間がかかることが見込まれるので1泊で行くことが多いのです。今年は雪が少なく、あっさりとした山行となりました。

今回のメンバーは先輩4名とペーペーの私。

【1日目】馬場島~早月小屋

朝、3:00くらいに長野県松本周辺で集合した時点でなんだか妙に気温が高くて、ぬるい風が頬をなでるのが心地よくありません。
今年はまだキーンと冷えてピリッと空気の引き締まった朝がきません。

6:30ごろに馬場島の駐車場に到着しました。

先輩が運転してくれて、私はすっかり爆睡してしまいました。気が付いたら到着していたのですが、、やはり全く雪がありません。

昨シーズンは馬場島でくるぶし程度には雪が積もっていました。
何なら運転中も白馬周辺を通過するときに大雪で運転が怖かったり、馬場島までも林道も凍結していて恐ろしかったです。

夏道の出ている早月尾根にとりつき、冬靴のソールをすり減らしながら歩いていきます。
道中雨が降ったり止んだりして、カッパを脱いだり来たり。

私は面倒なのでずっと着ていました。こういうちょっとした雨でも雨具を着るのをさぼると後々靴の中がぐしょぐしょになってしまいます。速乾性の登山ウェアはすぐに乾きますが、体中の濡れが衣類を伝って靴の中に集結するので少しの濡れでも、靴を濡らす原因になってしまいます。特に水に強い化繊は殆ど保水しないのですべての水分が重力とともに下へ下へと集まってしうんですよね。一泊くらいならいいのですが、基本的にはずぼらせずに合羽を着ておくのが吉です(経験談)。

雪のない夏道の標高上げをこなしながら進むと、1900m程度で急に道中の雪付きが良くなり、雪山の様相になってきました。しかし気温は高いです。

2200m付近の早月小屋ではさすがに雪がまあまあ積もっていて、心配していた水問題は解消されました。
こんなに藪が出ている早月尾根を見るのは初めてかもしれません。

今晩荒れ模様になる予報だったので一段下げてブロックを積んだのですが、1段掘り下げるともうすぐ下に地面がでてきてしまいました。積雪量は40~50cmあるかないか程度でしょうか。

ゆっくり歩いていましたが、12:00くらいに幕営地についてあとは水を作りながらだらだら暇をつぶします。もう少し雪がついてラッセルになるのが望ましいのですが・・。
ちなみにこの日は先行3PT、後続1PTは確認しましたが、実際はそれ以上に入山者が多かったようです。今年は雪が少ないから入山者が多いのかもしれません。あまり人が増えるようなら来シーズンは別の場所でトレーニングしたいかなあ、と思ったりしました。

この日は夜までずっと気温が高くテントの入り口は開けっ放しでした。

今回は4,5人用のテントに5人でみっちりだったので、夜はとっても暖かくて、シュラフで汗をかいてしまいました。本当に早月尾根にいるのかと思ってしまうくらい暖かな夜でした。

昨シーズンはダブルウォールテントでも寒くて凍えそうだったのに、今回はシングルウォールでもこの暖かさ。本当に気候の違いを感じます。

また、この日は夕方から低気圧の前線が通過する予報で、前線が通過する間は剱岳の稜線付近は恐ろしい雷が降り注いでいました。
本当に近くに落ちたこともあり、これほど雷が恐ろしいと思ったのは生まれて初めてでした。
当たったら確実に全員死ぬでしょう。雷のエネルギーの恐ろしさを感じました。
しばらく神に祈っていると収まってきて、そのあとは雪が強くなり始めました。

下の画像は雨雲レーダーに示された前線状の雨雲の様子と、実際に目に見えて押し寄せてくる前線の雲の様子です。日本海側から少しずつ近づいてくる雲の大群は迫力がありました。

【2日目】早月小屋~剱岳~下山

夜の間に雪が15cmほど降ったでしょうか。テントの周りは少し吹き溜まっていました。夜降ったのが雨じゃなくて良かったです。

我々は6:00出発の予定でのんびり準備していました。どうせ雪が少ないしそれほど時間がかからないことが想定できるのでのんびりした出発です。周りのテントのパーティはものすごく朝早くから出発していて気合が入っています(日の出でも見に行ったのかもしれません)。

朝テントから出るとやはり全く寒くなくて、素手で指が冷たくならないくらいの気温なので-5度前後くらいでしょうか。風も当たりません。

この日は朝は少しガスがかかっていましたが、気温が上がると少しずつ雲が抜けていき青空になっていきました。
ガスが出ていたからか、かわいいライチョウが姿を見せてくれました。ライチョウは霧氷の付いた木の枝をしきりにつついていますが一体何を食べているのだろう?

ちなみに西面はほぼ風裏で、剱岳直下までは無風に近かったです。

最後のルンゼ前の岩峰でいつもトラバースするところは雪付きが悪いため、巻かずに進みました。

最後のルンゼは割としっかりした雪面となっていて快適に歩くことができました。
過去にはここがアイスになっていて怖かったことがありましたが、凍っていたりせず、登り降りしやすかったです。

ルンゼを抜けたところから東側?からの突風が押し寄せてきて、サングラスをしていなかった私は目が明けられなくなってしましました。
風が一瞬弱まったタイミングで少し安定した場所に移動してサングラスを掛けました。
先輩たちは裸眼でずっと行動していて、どうしてあの風の中で普通に目が明けられるのか謎です。いつもそんなことを思っている気がします。あの人たちはなぜか暴風雪の中でも裸眼で平気なのですよね。。慣れでしょうか?

右手に室堂方面が見えてきました。
今日はBCで室堂から入ると言っている知人が何人かいたのでみんなも楽しく滑っているかな?と思いながら見ていました。

何度も来ているこの山頂ですがやはりこの時期は格別です。
未だ厳冬期にはピークを踏んだことはないですが、いつか来たいな。

下降地点で降りるルンゼを一本間違えてしまって、途中で気付いて登りかえして元のルンゼに戻ってきました。
後続になったガイドパーティ?のお客さんが間違えてこっちに入ってきちゃってちょっと申し訳なかったですが、ルーファイは自己責任です。。上で確保中のガイドさんが(そっちじゃなーい!)と叫んでいました。

ルンゼの中は風が吹き込んで雪煙になっていましたが、ルンゼを下ると次第に風裏になって落ち着いてきました。毎年風の当たり方が違うなあと感じました。
後はテケテケ下降して早月小屋まで。

 

稜線の雪は解けずに霧氷も昼前になっても落ちずにありました。思ったより気温が高くないのかもしれません。
太陽は暖かくて風も当たらなかったので体感温度はかなり快適でした。

テントを撤収してあとは下るだけ。下山も長いです。この美しい雪の世界にお別れを告げて雪のない世界へ降りるのが名残惜しく感じました。

昨シーズンは雪が豊富だったのでグリセード気味に滑り降りて、2時間もかからず下山できた記憶がありますが、今回は1900m以下は昨日の降雪で雪のなかったところがぐちゃぐちゃになっていて、歩きにくい。ブチブチ文句を垂れながらのんびり下降しました。

文句言うなら山なんて来なけりゃいいのにいつもなんで来ちゃうんだろうね?なんて雑談しながら。最近将棋にはまっていて、同じく最近将棋にはまりだした先輩とくだらない話をしたり。
長い道中を短くするためには、くだらない話をするのが一番です。次回までには脳内将棋(目隠し将棋)を覚えるぞ!(多分無理だと思う・・)

いかがだったでしょうか

天気が良くとても良い景色が見れましたが、やはり雪の少ない早月尾根となりました。早月尾根自体は3シーズン目?くらいかと思いますがこの尾根はだらだらと長くないので割と好きです。

ちなみに、過去に早月尾根に行った時の映像をYouTubeにアップしています。今シーズンも動画を少し取ったので、そのうち編集してアップしようと思います。気になる人はチェックしてみてください。

今回使ったレイヤリング・登山グッズ

今回使ったものをご紹介・商品へのリンクをしています。参考までに。

ウェア

持っていたけど、暖かかったので着用しなかったものもあります。

分類 メーカー 商品名
アウターレイヤー(シェルジャケット) ミレー ティフォンタフエクスプロアジャケット xs
ミドルレイヤー(化繊アクティブインサレーション) アークテリクス アトムLT フーディ
ミドルレイヤー(化繊ベスト) パタゴニア ナノエア ベスト
ミドルレイヤー(フリース) ノースフェイス グリッド フリース フーディ
防寒具(化繊) パタゴニア DAS ライト フーディ
インナー ファイントラック ドライレイヤー ウォームロングスリーブ
下着 ファイントラック ドライレイヤー ベーシック
アウターレイヤー(シェルパンツ) ホグロフス ハードシェルパンツ(古いやつ)
タイツ パタゴニア R1 タイツ

ギア

分類 メーカー 商品名
アイゼン グリベル G12 ニューマチック
アックス グリベル エアーテックエボリューション
ワカン マジックマウンテン ワカン

商品へのリンク

今回持って行ったものをリンクしておきます。

パタゴニア ◇ メンズ ナノ エア ベスト ( Black )